【寄稿】日本の学生運動世代からなぜマルクス主義者が消えたのか

【寄稿】日本の学生運動世代からなぜマルクス主義者が消えたのか

 1963年9月、数人の日本の政治家が韓国へやって来た。その中にいた自民党幹部で、閣僚も務めた松浦という人の話だ。

 ソ連のフルシチョフ書記長から日本の池田首相に問い合わせがあった。シベリア地域の木材と日本が作るトラクターを交換しようという提案だった。松浦大臣が池田首相の指示を受け、実現できるようにするためフルシチョフ書記長を訪ねた。フルシチョフ書記長が「シベリアに行ってみるつもりか」と尋ねた。松浦大臣は「行く必要はない。可能な地域の山林サンプルの写真があればいい」と、数日待った。

 写真を見ると、自然の状態そのままに育った雑木だったので「こんな木は木材にならない。植林して育てた木でなければ」と拒否した。フルシチョフ書記長は「代わりにたくさん提供したらどうだ?」と尋ねた。「製材費用がかかるからもっと駄目だろう」と返事をした。そうして今度は松浦大臣が「全世界が国際航空路線の拡張のため競争している。ソ連とインドネシアを行き来する飛行機が東京に止まれるようにして、日本航空がモスクワを経て西ヨーロッパに行けるように、航空協定を結ぼう」と提案した。するとフルシチョフ書記長は、壁に掛かったロシアの地図を示しつつ「狭い日本の国土とこの広い大陸を同等に見ることはできない」と拒絶した。

 ソ連が日本よりどれほど遅れていて、国際情勢を理解していなかったかを教えてくれる一例だ。当時、一緒にやって来た自民党の政策室長に私は尋ねた。「日本の大学生や若い世代は、かつて世界で最も熱烈なマルクス主義の支持者だった。米国のアイゼンハワー大統領がその勢力のせいで、予定されていた訪日を取り消したほどだ。なのに今は左派や共産主義の支持者は見当たらないというくらいに変わった。そういう変化の原因は何だと思うか」

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