「学生運動出身者とその支持勢力の結合、民主主義の危機を招いた」

「学生運動出身者とその支持勢力の結合、民主主義の危機を招いた」

 リベラル派の重鎮政治学者、崔章集(チェ・ジャンジプ)高麗大名誉教授=写真=は、文在寅(ムン・ジェイン)政権の発足がリベラルと保守の極端な二極化と民主主義の危機を招いたと診断した。崔教授は先月末、ソウル大韓国政治研究所が発行する「韓国政治研究」に寄稿した「改めて韓国の民主主義を考える」と題する論文でそう指摘した。

 崔教授は「ろうそくデモ以降、文在寅政権の登場は韓国民主主義が新たな段階に入る転換点になると期待されたが、今の韓国の民主主義は危機に直面している」とした上で、「この危機は学生運動世代のエリートグループ、彼らと結合した支持勢力による政治的失敗によってもたらされた」と分析した。文政権が発足し、与党・政府・青瓦台に流入した運動勢力「86世代」(1980年代の民主化運動に関わった1960年代の人たち)と与党の熱狂的支持層が韓国の民主主義の後退をもたらしたとの分析だ。

 崔教授は「特定の政治家に熱狂的に従う現象は強固な結束力と攻撃性を核とする政治運動だ」とした上で、「バーチャルに組織された多数がインターネットのソーシャルメディアを通じて世論を主導し、異なる意見や批判を攻撃し、事実上言論の自由を制約する結果を生んだ」と指摘した。

 崔教授は文在寅政権の「積弊清算」を掲げるさまざまな改革ドライブも失敗したと診断。「大統領と政権勢力はさまざまな改革要求を政治的多元主義で受け入れて統合するのではなく、独占的かつ一般的に対応した。それによって、ろうそくデモが中道はもちろん、合理的保守も含む『社会的大連立』『弾劾政治運動』の性格を帯びていた事実を否定した」との認識を示した。

 崔教授は今年4月の韓国総選挙について、「特定の市民運動出身者が選挙のために急ごしらえした政党の候補として選挙に出馬し、国会議員に選ばれた」とし、「市民運動がすなわち政党であり、政党がすなわち市民運動だという現象が現実化した」と述べた。そして、「両者の間には『優遇と支援を見返りに政治的支持を交換する関係』が定着した」と分析した。

 崔教授は特に高位公職者犯罪捜査処(高捜処)法を「極めて危険な法律」だと評した。崔教授は大統領が高捜処長の任命権を持っていることについて、「ただでさえ強い大統領にさらに大きな権力を与える結果を招く可能性が高い。検察改革がなぜあらゆることに優先し、最優先の改革アジェンダにならなければならないのかという問題に説得力を持つ答えが見つからない」と指摘した。そして、「積弊清算をモットーとする過去の清算方式が韓国社会の二極化を呼び、耐え難い社会分裂を招き、改革自体が成果を上げられない状況を生んだ」と述べた。

チュ・ヒヨン記者

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