「DV常習者の父、警察に撃たれた」 ハーバード医大出身NASA宇宙飛行士の告白

韓国系米国人のジョニー・キムさん

 今年初めに米国航空宇宙局(NASA)の月・火星探査計画「アルテミス計画」に参加する11人の宇宙飛行士のうちの1人に選ばれ話題になった韓国系の医師、ジョニー・キムさん(36)が、子どものころ父親に虐待されていたことをポッドキャストで告白した。家庭内で暴力を振るっていた父親は、出動した警察に銃で撃たれて死亡した。

 ジョニー・キムさんは米海軍の特殊部隊「ネイビーシールズ」要員からハーバード大医学大学院に進学し、その後NASAの宇宙飛行士に選ばれた苦労と努力の人で、若い韓国系米国人のシンボルの一人に挙げられる。このほど米国のオンライン放送「ジョコ・ポッドキャスト」に出演したキムさんは「私は父に対して悪い感情を抱いておらず、父による虐待を許した」と幼少時代を振り返った。キムさんは自身が海軍の特殊部隊「ネイバーシールズ」に志願した理由について「(私が)飛行機から飛び降りて祖国に尽くすためかといえば、それはうそ」とした上で「私のアイデンティティーを見い出し、(父から)弟と母を守りたかったため」と話した。

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 1980年代初めに韓国から米国に移住したキムさんの父は、ロサンゼルスで酒類販売店を営んでいた。キムさんは「父は(人間に内在された)悪魔をコントロールする精神力を持っていなかった」「父の言語的・肉体的虐待は主に母に向けられ、私は小さいころ(父に対する恐怖から)いつも眠りにつくのが怖かった」と話した。

 問題は、キムさんが入隊を控えた2002年2月21日に起きた。キムさんは「あの日の昼間、帰宅した父からウイスキーの匂いがして、ひどく酔っていた。今回は何かが違うと感じた」と話した。父親は突然キムさんに「すまない」と言った後、催涙スプレーを顔に噴射し、キッチンでは母親が「お父さんが銃を持っている」と騒ぎ始めた。キムさんは父親を止めようとしたが、父親はダンベルをキムさんの頭に振り下ろした。その後、母親の通報で警察が駆け付けた。警察は屋根裏部屋に上がり、しばらくして銃声が聞こえた。

 キムさんはインタビューで、ネイビーシールズの出身でハーバードの医学大学院まで卒業したものの、自分は肉体的にも精神的にも平凡だと感じると話した。その上で「ほかの人より自分が優れていると思った瞬間、自らを毒殺することになる」「自分にできることは、現状に満足せず頑張って働くことだけ」と話した。また「悪いカードを持って生まれることもあるが、あなたには運命を切り開くことができる選択権と力がある」とメッセージを送った。

ワシントン=チョ・ウィジュン特派員

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  • ▲NASAの宇宙飛行士になったジョニー・キムさん(右)とハーバード大学時代の姿。 /写真=ツイッターより

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