チョ国前長官夫妻は2016年、息子の米国大学のオンライン試験を2回、代わりに受けたが、ほぼ同じ時期に崔順実(チェ・スンシル)娘の不正受験疑惑については「驚がくする」と書いた。以前、「公認検証過程で虚偽があったとしても法制裁してはならない」と言っておきながら、自分自身を非難したメディアの報道に対しては訂正報道、損害賠償請求を続けている。前政権時、「どんな顔で長官職に居続けて捜査を受けているのか」と怒鳴りつけたが、自身が捜査を受けている時もしばらくの間、長官職に居続けた。ほかの教授の政治参加に対しては「ポリフェッサー」(polifessor=政治家〈politician〉として活動をする教授〈professor〉)と批判しながら、自分は「アンガージュマン」(engagement=フランス語で知識人の社会運動参加)だと言った。
過去の自身の文章や発言に揚げ足を取られる有名人は多い。時代や状況が変わったケースもあるだろう。それでも発言を180度翻したり、明らかなダブルスタンダード(二重規範)であることが発覚したりすれば、普通は口を閉ざし、「振り」だけでも恥じ入っている様子を見せるものだ。チョ国前長官のように、いっそう大きな声で詭弁(きべん)を並べたて、国民を絶えずうんざりさせる人は珍しい。現政権はネロナムブルの選手が多いが、チョ国前長官の足元にも及ばない。
イム・ミンヒョク論説委員