【コラム】中国に対する認識に限ってはトランプが正しかった

中国の本質を正しく見抜いたトランプの対中戦略
米議会全体の支持を受けバイデンもこれを継承する見通し

 今月6日に行われたバイデン大統領当選を正式に決める米議会上下院の合同会議を前に、韓国国内でも「米国大統領選挙の結果がひっくり返るかもしれない」と信じる人たちがいた。上下院の会議で一部の開票結果が無効となり、上院議長のペンス副大統領が大統領選挙の結果をひっくり返すと彼らは信じていた。韓国にもこのような過激なトランプ支持者が多いという事実を知ると驚く人も少なくないだろう。支持や応援のレベルを超え、まさに英雄視するようなケースも目にした。先日もあるトランプ支持者に会ったが、彼は「トランプこそ中国の正体を誰よりも正確に暴いた人物だ」と主張した。

 フランスの未来学者ギ・ソルマンは2000年代の初めから共産党一党独裁の中国の危険性について警告してきた。それにもかかわらず欧米社会が警戒心を持てなかったのは戦略的な判断ミスだった。その第一が中国がこれほど短期間に成長し、巨大な富を積み上げることが予想できなかったこと。第二に生活が豊かになれば韓国のように自由民主主義になると誤解したことだ。中国の習近平・国家主席は2014年初めにあるインタビューで「中国共産党創建100周年となる2021年、中国の1人当たりGDP(国内総生産)は2010年(4434ドル=約47万円)の2倍になるだろう」と述べた。しかし中国の1人当たりGDPは、IMF(国際通貨基金)の統計によると昨年すでに1万7200ドル(約180万円)に達した。それでも自由や人権、民主主義が広がっているとは考えられない。金持ちとなった中国はさらに危険な存在になったのだ。

 英フィナンシャル・タイムズが2018年にその年の言葉として選んだのが「トゥキディデスのわな」だった。これは米中衝突を表現する際に最もよく使われる言葉だ。しかし従来の強大国と新興強大国が構造的な緊張が原因で戦争に至るとする「価値中立的」な診断では米中激突の意味を正しく説明できない。この対決はアテネとスパルタのどちらが勝つかという類いのものではない。誰が勝者になるかに世界の自由と民主主義の運命が懸かっているかもしれないのだ。その影響を最も多く受ける国が韓国だ。われわれがどちらか一方を選択するしかないのもそのためだ。

張一鉉(チャン・イルヒョン)記者

■韓国が信頼できる国1位は米国、警戒すべき国は?

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