慶州沖で6人乗った船転覆…船尾側魚倉にいた50代機関長、奇跡的に救助
慶尚北道慶州沖の海上で発生した漁船転覆事故で、乗組員6人が行方不明になったが、このうち1人は転覆した船内の「エアポケット(air pocket)」で40時間持ちこたえ、奇跡的に救出された。エアポケットとは、船舶が転覆した時、船体内部の空気が外に抜け出さずに残っている場所のことで、「最後の生命空間」と呼ばれている。
■「世界で最も住みやすい国」2020年版発表、韓国17位、米国28位、日本は?
浦項海洋警察署が21日に明らかにしたところによると、19日午後6時49分ごろ、慶州市の甘浦港の東方約42キロメートルの海上で、9.77トン級のカニ漁船「コリョン号」が浸水しているという通報が寄せられた。海洋警察署や海軍などは夜間の捜索活動を行い、約3時間後に通報地点から4キロメートルほど離れた海上で転覆漁船を発見した。事故船は韓国人と外国人船員が各3人、計6人が乗船していた。
事故海域には当時、波浪注意報が発令されて、秒速12-16メートルの強風が吹いていた。海洋警察署は捜索3日目の21日午前9時20分ごろ、事故海域から15キロメートルほど離れた海上で、漂流していたベトナム国籍の船員1人を発見した。この船員は救命胴衣を着ていたが、意識と脈拍がない状態で、病院に搬送されたものの死亡が確認された。
海洋警察署は、船舶内にいるかもしれない生存者を見つけるため、同日午前10時16分ごろ、船体の打撃を十数回試みたが、特に反応がなかったため、船体の捜索を試みた。同10時23分ごろ、潜水士が船尾側の魚倉で機関長(56)を発見した。魚倉とは獲った魚を保管する倉庫のことだ。海洋警察署関係者は「事故海域の海水温度は大衆浴場の冷水浴槽より冷たい12℃程度だった」「船が転覆しても空の魚倉に残っていた空気のおかげで奇跡的に生存していたものと見られる」と語った。
救助当時、機関長は低体温症を訴えたが、意識はあり、ヘリコプターで病院に搬送された。機関長は海洋警察署に「船が転覆する直前、乗船員6人のうち4人が救命胴衣を着ているのを見た」「私も出ようとしたが、脱出できなかった」と話した。海洋警察署は、艦艇や航空機を動員して残り4人の捜索作業を継続している。