専門家らは、当時の事件が北朝鮮でも知れ渡り、脱北を準備して試みる住民に影響を及ぼしたものとみている。高官クラスの脱北者A氏は「北朝鮮が問題の送還事件を契機に『もう南朝鮮へ逃げていっても無駄だ』という内容の講演会、学習、総会を開いた可能性がある」と語った。
23日に韓国軍の合同参謀本部が発表した調査結果によると、問題の北朝鮮男性は今月16日に高城の海岸で亡命した当時、監視および警戒用カメラ(CCTV)に10回捕捉されたが、韓国軍は8回逃がしていた。しかもCCTVに捕捉された後、2回も警報音が鳴ったが、監視兵はこれを無視して何も措置を取らなかったことが判明した。徐旭長官は「監視兵は亡命者を出退勤する幹部だと思い、油断した」と答弁した。
韓国軍はまた、この男性が海岸に上がってきた後、民間人統制線の哨所まで移動して識別されるまで3時間11分も気付かず、哨所で捕捉してから34分後にようやく師団長に報告していたことも分かった。軍の監視装備で北朝鮮男性を最初に確認してから実際に身柄を確保するのにおよそ3時間かかり、警戒失敗はもちろん対応の遅さなど、韓国軍の作戦対応態勢にも深刻な問題が確認されたという指摘がある。