船橋洋一氏「福島事態で教訓得られず…日本では今も『安心ポピュリズム』が流行」

東日本巨大地震からの10年を追跡してきた船橋洋一氏へのインタビュー

 船橋氏は「福島事態からの復旧にどれだけ多くの費用が使われたのか」との質問に「日本経済センターは2040年までに総額80兆円がかかると予想している。これまで22兆円が投入されたが、今後約60兆円が追加で必要になるわけだ。これは財政的に大きな負担になるだろう」と説明した。

 船橋氏は「福島事態にもかかわらず、原子力エネルギーは今も必要だ」とも主張する。船橋氏は「人類の歴史は近代以降、一つのエネルギーだけに頼ってはこなかった。さまざまなエネルギーを組み合わせて使うことが必要だ」「原子力エネルギーを活用しなければ、エネルギー安全保障に問題が生じる」と説明した。

 船橋氏は福島事態が米日同盟に危機をもたらしたことも回顧した。「当時の菅直人首相の危機管理リーダーシップは失格だった」として「米国のオバマ政権は菅内閣が問題解決を放棄したのではと懸念し、在日米軍を撤収させることも検討した」と明らかにした。しかし米国は「日本が危機管理に失敗すれば、米国にも大きな損失が出る」と判断し、米国原子力規制委員会(NRC)の専門家を日本に急きょ派遣した。2万キロ上空に毎日無人偵察機グローバルホークを飛ばし、放射能関連の情報を収集して日本に伝えた。船橋氏は「福島事態によって日米同盟はより強固になったが、自国の安全は自国が守らねばならないという教訓も得た」と指摘した。

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東京=李河遠(イ・ハウォン)特派員
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