台湾・南シナ海・クアッド…韓国、「米中綱渡り」から米側に一歩踏み込む

 文大統領が公の場で台湾海峡に言及したのも異例だ。先月の米日首脳共同宣言と比較すると、新疆ウイグル自治区、香港問題の言及はなかったが、「台湾海峡の平和・安定」は全く同じように明記されている。また、中国をターゲットに米国が主導する「クアッド」の重要性と共に、「新型コロナウイルス感染症の発病起源調査」など、中国が鋭敏に反応する議題も韓米共同声明に含まれた。新型コロナ発病起源とは、「中国が新型コロナの発生地」と主張する米国・オーストラリアなどと中国が対立を続けている事案だ。元韓国外交部関係者は「新型コロナ発病起源調査は、中国を刺激し、揮発性の高い文言」と話す。一部では、韓国の急激な変化をめぐって、「ソフトランディング(軟着陸)が必要な中国問題で、ハードランディング(硬着陸)したようだ」という批判も出た。しかし崔鍾建(チェ・ ジョンゴン)外交部第1次官は「台湾の安定と平和は韓国の国益にも直結するという我々の意志を示したもの」と述べた。

 今回の首脳会談をきっかけに、安保協力だけでなく新型コロナワクチン生産、半導体・バッテリー・原発・6Gネットワークといった韓米間経済協力も大幅に強化された。これは、米中間の経済・技術競争で、米国陣営に加わったことを意味する。世宗研究所米国研究センターのオ・ジョンヨプ・センター長は「韓国政府が米国のニーズを大幅に反映させ、これまでの戦略的なあいまいさに変化を与えたものだが、中国の反応は見守る必要がある」と言った。

 中国は公式コメントを今のところ出していないが、中国国営メディア「環球網」は台湾・南シナ海に関する言及について、「内政干渉」としている。一方、国営英字紙「グローバル・タイムズ」は「文大統領は中国の『レッドライン』を超えず、米中の課題において韓国の原則を守った」と伝えた。亜洲大学米中政策研究所のキム・フンギュ所長は「韓米間の不安定さがかなり緩和されたのに対し、中国との関係は大きな課題になった」と見ている。

■韓国が信頼できる国1位は米国、警戒すべき国は?

キム・アジン記者 , 安俊勇(アン・ジュンヨン)記者 , ワシントン=共同取材団
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