世界中にある強大国の大使館は全て諜報活動の拠点になっている。ドイツの週刊誌シュピーゲルは数年前、米国がメルケル首相の携帯電話を10年にわたり盗聴していたことを暴露した。その盗聴の拠点として注目されたのがベルリンの米国大使館だった。光化門の米国大使館も例外ではない。ロビイストとして知られる朴東宣(パク・ドンソン)氏による米国議会へのロビーが大きな話題になった1976年、ワシントン・ポスト紙は米国が青瓦台(韓国大統領府)の盗聴を行っていたことを暴露し、ニューヨーク・タイムズ紙は盗聴の方法まで報じた。米国大使館は青瓦台の窓ガラスのわずかな揺れから人間の声を判別する遠距離探知装置を使っていたという。
米国大使館は世界の多くの国でテロの標的になっている。しかし血盟の国であり同盟国でもある韓国でもそうなるとは考えもしなかった。今光化門の米国大使館は高い塀に重い二重の鉄のドア、鉄条網、バリケードなどで外部と遮断されている。しかし最近は韓国の大学生が自家製の爆発物を投げ込み、反米団体が大使館を取り囲んで集会を開き、乗用車で正門に衝突する事故まで起こった。
駐韓米国大使館が大韓民国の栄辱を全て見守った光化門時代を終わらせ、かつての竜山米軍基地のキャンプ・コイナーに移転することが最終決定した。新しい大使館は2年後には工事が始まる予定だ。貞洞の大使公邸は大韓帝国の衰亡を見守ってきたが、光化門の大使館は大韓民国の奇跡の発展を見てきた。竜山の新しい大使館には韓半島統一を目撃してほしいものだ。
金泰勲(キム・テフン)論説委員