「マグネット(magnet=磁石)廷」。打席でたくさんのボールに当たってきた韓国プロ野球(KBO)リーグ、SSGランダースの三塁手・崔廷(チェ・ジョン、34)にファンが付けたニックネームだ。「まるで磁石が鉄を吸い付けるがごとく、体がボールを引き寄せているかのようだ」という意味だ。専門家は「ボールを最後まで見て反応するプレースタイルなので、内角に球が来ても打撃姿勢をキープし、自分のスイングをしようとするからだ」と死球の多い理由を分析している。
18日、仁川市内の文鶴球場でNCダイノスと行ったホームゲームに、3番・サードで出場した崔廷は6回裏、先頭打者として打席に入り、相手投手ドリュー・ルチンスキーとフルカウントの勝負の末、死球で出塁した。内角・時速147キロメートルのツーシームファストボールが、球をよけようとした崔廷のユニフォームをかすめた。これが崔廷にとってプロ入団以降、288個目の死球だった。球場の電光掲示板には「世界新記録達成 14番・崔廷 288死球」と記録が表示された。
韓米日などの主なプロ野球リーグで、これまで死球に最も多く当たったのは米大リーグのヒューイ・ジェニングス(287死球)だった。ジェニングスは1891年から1903年まで、フィラデルフィア・フィリーズやデトロイト・タイガースなどで18シーズンプレーした。
2005年から今年までKBOリーグで17シーズンにわたりプレーしている崔廷は、2007年(11死球)以降、2015年(5死球)を除き、毎シーズン10死球以上を記録してきた。崔廷は「笑ってやり過ごせる面白い記録。長い期間、試合にこつこつ出場し続けて初めて達成可能な記録でもある」と語った。