中国科学院上海応用物理研究院の厳睿博士を中心とする研究チームは先日、中国の学会誌に100メガワット級原子炉の概念設計についての論文を発表したが、その中で「TMSRは水なしに(原子炉の)冷却が可能で、干ばつの多い地域に適している」「(水が貴重な)中国中西部地域に建設すれば、10万人に電力を供給できる」と説明した。香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は「中国に豊富なトリウムを利用でき、発電後も核兵器に転用可能な廃棄物が少ないため、核拡散の懸念が小さい」「アフリカの内陸や中央アジアなど、一帯一路(陸海上のシルクロード)の国々への輸出も可能になるだろう」と予想した。
小型原発の分野でも中国は素早く動いている。先月15日に中国南部の海南で建設が始まった中国初のSMR「玲竜1号」の場合、52万6000世帯に電力、温水、蒸気などを供給できると期待されている。大型の原発に比べて経済性は低いが、工場のように大量生産が可能で、建設に必要な期間も短い。陸地だけでなく島や船舶の上でも建設が可能だ。
「玲竜1号」のプロジェクトに参加した中国原子力研究設計院の劉承敏副院長は中国界面新聞とのインタビューで「工業地域に建設して電力や蒸気を供給するとか、島での海水の淡水化施設、海上での石油採掘現場など、さまざまな状況で活用できる」「サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、タイなどが小型の原子炉に関心を示している」と明らかにした。
中国が原発技術の開発に力を入れる背景には、エネルギー安全保障の次元からも必要性が高まっているからだ。原発建設で遅れを取ってきた中国はこれまで核心技術を米国やフランスに依存してきた。ソウル大学原子力核工学科の徐鈞烈(ソ・ギュンリョル)名誉教授は23日、本紙の取材に「従来のウラン原子炉で中国は2-3等級にもならないが、トリウム原子炉など新型の原子炉では世界を引っ張る可能性がある」「米国が定めた原子力規制から抜け出し、未来の原発市場を支配する意思が表明されたようなものだ」と指摘した。その上で徐教授は「工学者が見ると非常に脅威を感じる状況だ」「過去には中国がウラン原子炉技術を学ぼうと韓国にやって来たが、今後はわれわれが中国に技術を学びに行くようになるかもしれない」と懸念を示した。