【萬物相】中国の「英語禁止」

 先月、「共同富裕(共に豊かになる)」という格差解消政策を宣言した習近平主席の中国は、民間企業の腕をねじり上げて天文学的な金銭をむしり取っている。中国共産党に目を付けられた電子商取引大手「アリババグループ」が出すことにした「寄付金」だけで1000億元(約1兆7000億円)だ。文革期の紅衛兵による「金持ちたたき」が思い出される。中国共産党は青少年のゲーム禁止や芸能人ファンクラブ閉鎖といった個人の自由を規制することもためらわない。「習近平思想」教育を強制までしている。今や「第2の文革でも始まったのか」という声が上がっているほどだ。

 上海教育当局が地域の小学校の英語試験を阻止した、と米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が報道した。中国の小中学校では海外の教科書の使用が不許可になった。英語の私教育も事実上、禁止された。大学入試試験から英語を外す案も推進されている。大学関係者はNYTに「ジャーナリズムや憲法のように(政治的に)敏感な科目ほど、英語の原書を使用しない雰囲気だ」と語った。英語教育の居場所は中国共産党の理念教育に取って代わられようとしている。西欧の自由と民主思想を直接体得するな、ということだ。

 習近平主席は5年前まで「文革は(中国を)世界と断絶させ、閉鎖された環境を作った」と批判した。自身は文革の犠牲者でもある。そうでありながら、中国を閉ざされた国に引き戻そうとしている。来年の中国共産党総書記3期目続投のための統制措置だ。権力は人を狂わせるという言葉は間違いではなさそうだ。

アン・ヨンヒョン論説委員

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