多くの専門家は、核拡散防止条約(NPT)加盟国である韓国が核兵器を開発したら国際制裁を受けることになるので、独自核武装は難しいとみている。しかしリンド教授らは「北朝鮮の核兵器開発は違法」だが「韓国の開発は合法的で、正当化し得る」と主張した。NPT第10条は「この条約の対象である事項に関する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する」と定めている。北朝鮮が核兵器で韓国を脅している状況は「明らかに、この『異常な事態』に該当」するのであるから、NPT脱退を敢行し、核兵器を開発できるというのだ。
両氏は「(韓国の独自核武装は)核拡散を防ごうとする米国の核心政策に反する」としつつも、「弱体化した(韓米)同盟にとって最適のルートになり得る」と主張した。その上で「もしソウルがこうした措置を取ると決定したら、米国は非難の焦点を北朝鮮の違法な核プログラムに合わせ、価値ある同盟に政治的支持を提供しなければならない」と結論付けた。
リンド教授は、これまで絶えず韓半島問題に関心を持って研究してきた中堅学者として国際社会でもよく知られている。2009年に「フォーリン・アフェアーズ」に寄稿した「謝罪のリスク」という記事で、日本の「アデナウアー式謝罪」を主張したことでも有名だ。コンラート・アデナウアー首相時代の西ドイツのように、日本は過去の残虐行為を否定せず賠償すべきで、韓国など隣国もこれを受け入れ、お互いに未来志向的に進むべきだという内容だった。
一方、米国家偵察局(NRO)のクリストファー・スコールズ長官は、あるカンファレンスで、昨年打ち上げた2基の新型偵察衛星を対北情報収集に活用していることを公表した。これらの衛星の細かな諸元は公表しなかったが、従来の衛星だけでは捕捉しきれない死角地帯の映像や信号情報を収集する上で成果をあげているものとみられる。
ワシントン=金真明(キム・ジンミョン)特派員