健保公団とは異なり、健康保険審査評価院は医療データの活用を認めている。今年7月6日に保険会社が求めた公共医療データ活用を承認した。審査評価院は診療情報、医薬品情報など349のデータベースを仮名処理して提供する。しかし、審査評価院だけでは不十分だというのが保険業界の立場だ。健保公団の資料とは異なり、患者が特定の薬物を服用したことによる病状変化などを確認できる追跡観察データが抜け落ちているためだ。
保険業界は健保公団が保有する国内医療データを活用し、心血管・脳血管疾患関連保険への加入が難しかった高血圧患者など脆弱階層専用の商品、人工授精、体外受精など不妊治療を保証する不妊保険、小児肥満に伴う疾患の保険など新たな保険商品を開発しており、健保公団による資料提供が必要だとの立場だ。ある保険会社の関係者は「健保公団による審査のハードルを越えられなければ、そうした努力は水の泡になりかねない」と話した。
■医師協会、健保公団労組、市民団体などが反対
大韓医師協会など医療団体、参与連帯など一部市民団体、健保公団労組は保険会社の公共医療データ活用に反対している。個人情報が流出する懸念があり、特定の疾病にかかったことがある集団、発病リスクが高い集団を保険会社が区別して差別する懸念があるとの主張だ。大韓医師協会は「公共医療データの提供は国民の健康権保護の側面で全く役に立たない」とした。健保公団労組は「国民の医療データを保険会社の利潤最大化のための商品開発に活用しろと差し出してはならない」との意見だ。
■米日などは積極活用
主要国は公共医療データの活用に積極的だ。米国では保険会社が医療データを分析し、ヘルスケアサービスを開発した。フィンランドは政府が国民のあらゆる医療記録を電算化したシステムを管理しており、匿名処理した情報を民間企業などが活用できるようにしている。日本は医療統計データサービス業者のJMDCから保険会社に情報を提供する。しかし、韓国の健保公団は製薬会社、医療機器メーカーなど医療関連産業にはデータを提供しているが、保険業界には門戸を閉ざしている。
ホ・ユジン記者