豚の腎臓を脳死患者に移植、米研究チームが実験に成功

移植直後から尿を生成するなど正常に活動
「動物臓器の大量供給の可能性が開かれる」

 米国の研究チームが免疫拒否反応なしに人間に豚の腎臓を移植する実験に成功した。動物から得られた臓器を患者に移植する異種臓器移植で拒否反応が起きなかったのは今回が初めて。

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 米ニューヨーク・タイムズ紙は19日(現地時間)、「米ニューヨーク大学ランゴーン医療センター移植研究所のロバート・モンゴメリー博士の研究チームが先月25日、重傷の腎不全で脳死状態の患者に豚の腎臓を移植する実験に成功した」と報じた。研究チームは豚の腎臓を患者の体外に置いた状態で血管を連結し、54時間にわたり観察を行った。その結果、豚の腎臓は移植直後から老廃物を取り出し、尿を作り出した。免疫拒否反応も起こらなかったという。研究チームは移植に先立ち患者の家族から同意を得ていた。ニューヨーク・タイムズ紙は「比較的短い時間で行われた実験だったが、動物から大量の臓器供給が受けられる可能性が開かれた」と評した。

 今回の実験に使われた豚の腎臓は、人間に移植した際に免疫拒否反応を起こす糖成分が生成されないよう遺伝子操作が行われた「ガルセーフ豚(GalSafe pigs)」のものだ。ガルセーフ豚は昨年12月、米食品医薬品局(FDA)から「食用・医療用に適している」と認証された。

 ただし「今回の実験によって動物臓器移植の商用化を論じるのは時期尚早」とする慎重な見方も根強い。ニューヨーク・タイムズ紙は「人体に移植された臓器の寿命についてはまだほとんど分かっておらず、豚のウイルスが患者に感染する恐れもある」と指摘した。

 医学研究の分野では20世紀に入って人体に動物の臓器を移植する実験が本格的に始まった。1960年代にはチンパンジーなど霊長類の腎臓を人間に移植する実験が何度も行われたが、拒否反応を克服することはできなかった。1980年代からは豚の臓器を人間に移植する研究が活発に行われた。豚の臓器はサイズが人間に近く、子を多く産むので臓器の大量確保が難しくないからだ。中国では2015年に豚角膜の人体への移植が認められ、日本では2016年に動物臓器の人間への移植が認められた。韓国では生命倫理法によって動物臓器の人体への移植は禁じられている。

イ・ボルチャン記者
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