『イカゲーム』のフィリピン人俳優、「韓国で人種差別…顔にキャベツ投げられた」

『イカゲーム』のフィリピン人俳優、「韓国で人種差別…顔にキャベツ投げられた」

 動画配信サービス「ネットフリックス」のオリジナル韓国ドラマ『イカゲーム』に出演しているフィリピン人俳優、クリスチャン・ラガヒルさんが、韓国で経験した人種差別被害について告白した。

■「世界で最も住みやすい国」2020年版発表、韓国17位、米国28位、日本は?

 ユーチューブチャンネル『アジアン・ボス』は先月24日、『イカゲーム』で276番の参加者を演じたラガヒルさんのインタビュー動画を公開した。動画でラガヒルさんは自身のことを「探検家で冒険家でもあり、マーケティングコンサルタントでデータアナリスト」と紹介した上で「俳優はパートタイムで、時間があるときにやっている」と説明した。

 ラガヒルさんは、韓国で感じた外国人に対する固定観念について聞かれると「固定観念というよりは、人種差別に近い」として「忘れられない出来事がある」と話を切り出した。

 ラガヒルさんは「地域巡回バスの後部座席に座っているときのことだった。とても小さいバスだったので座席が少なく、乗客の何人かは立っていた。そのとき50代後半ぐらいの女性が私をじっと見ていることに気がついた。最初は私の前に座っている男子学生を見ているのかと思ったが、数分後、何かが飛んできて私の顔に当たった。女性が私に向かって投げたキャベツだった」と話した。

 さらに「かけていた眼鏡が床に落ちた。見つけて拾ったが、眼鏡は壊れていた。よく見えないので壊れた眼鏡をかけて『すみません、どうしてキャベツを投げたんですか』と聞いた。すると、近くにいた他の乗客が『あの人は、あなたが韓国人じゃないからバスから降りてほしいと思っているんだよ。このバスは韓国人が乗るバスだ』と女性の言葉を代弁したという。

 ラガヒルさんは「外国人向けの専用バスもないし、このバスが最終なのにどうしたらいいのか。韓国語があまり話せないのでタクシーに乗るのも大変だ」などと話すと、「とにかく降りろ」と言われたという。ラガヒルさんは自分にはもはや何もできないと感じ、バスの中で涙を流した。

 キャベツを投げた女性は「外国人は皆、悪い人だ」と叫んだという。しかし、女性を止めようとする乗客は一人もおらず、ラガヒルさんを助けようとする人もいなかったという。ラガヒルさんは「あのとき、誰も私に関心がないということが一番つらかった」「バスは乗客でいっぱいだったのに、誰も私を助けてくれようとしなかった」と当時を振り返った。

 さらに「他の友人たちも、顔にキャベツを投げられたわけではないが、韓国人にひどいことを言われたことがあると言っていた」「私も経験したことだが、バスで席に座ると誰も隣に座りたがらない。2年ぐらい前、私の隣に座ろうとした乗客が『外国人が座っている』と言って私の隣を避けた」と打ち明けた。

 ラガヒルさんは2015年から韓国で英語教師として働き始め、17年からはエキストラや脇役として俳優活動を開始。韓国ドラマ『ファイティン・ガール~Miss Lee~』、韓国映画『ザ・ネゴシエーション』『スペース・スウィーパーズ』などに出演している。

 『イカゲーム』では第4話「チーム分け」で276番の参加者として登場。劇中、チームを組むメンバーを探す場面でパキスタン人労働者アブドゥル・アリ(トリバティ・アヌファム)とイスラム式のあいさつを交わし、一緒にゲームに挑んだ。『イカゲーム』に出演して以来、フィリピンで主要メディアのインタビューを受けるなど注目を集めている。

キム・ジャア記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 『イカゲーム』のフィリピン人俳優、「韓国で人種差別…顔にキャベツ投げられた」

right

あわせて読みたい