【萬物相】ソウル大の転落

【萬物相】ソウル大の転落

 ソウル大学の呉世正(オ・セジョン)総長は2018年に行われた総長選挙の際「国会にいる間、ソウル大学の地位と権威の低下を切実に感じた」と述べた。呉総長は比例代表の国会議員在任中にソウル大学総長選挙に立候補した。呉総長は「国民はソウル大学を『民族の大学』ではなく『既得権集団』と見なしている。『ソウル大学は何もやっていないのに、なぜ予算の増額ばかり求めるのか』といった同僚議員からの批判も多く聞いた」とも伝えた。

「アジア大学ランキング2021」で上位100位にランク入りした大学の数

 呉総長就任から3年が過ぎたが、ソウル大学の地位は改善するどころかさらに下がっている。朝鮮日報と英国のクアクアレリ・シモンズ社(QS)が共同で行った「アジア大学ランキング2021」でソウル大学は昨年の14位から今年は18位へと4ランクも下がった。2014年の同じ評価では4位だった。韓国を代表する各大学のランクは全体的に低下傾向にあるが、その中でもソウル大学の下落は非常に目立っている。

 ソウル大学のランク低下は大学教育の核心とも言うべき研究の量も質も下がっているためで、その点は衝撃的だ。教授たちがいかに競争力のある研究を行ったかを示す「論文の被引用数」では昨年の48位から今年は63位と15ランクも下がった。この指標は韓国の他の大学と比較してもKAIST(韓国科学技術院)やポステック(浦項工科大学)はもちろん、高麗大学、成均館大学、漢陽大学、梨花女子大学などよりも低い。このニュースが報じられた3日朝、ソウル大学の関係者から「恥ずかしくて顔も上げられない」といった声が相次いだという。

 私立大学は授業料が13年連続で事実上の凍結状態にある。ところがソウル大学が今年受け取った政府からの支援金は5123億ウォン(約495億2000万円)で国立大学の中でも圧倒的に多い。慶北大学はソウル大学よりも学生が多いが、政府からの支援は1975億ウォン(約190億9000万円)だ。つまりソウル大学は慶北大学の2.6倍の支援を受けているのだ。他の大学関係者などからソウル大学への批判が高まるのは当然のことだ。規制という観点でもソウル大学は「自律性の拡大」を理由に2011年から「国立大学法人」に転換した。財政と自律性のいずれの側面でももはや弁解もできなくなっているのだ。

 超一流大学の存在が国の競争力に直結する時代だ。韓国は昨年、GDP(国内総生産)を基準に世界で10位前後の経済規模となった。その韓国で最も優秀な学生が集まるとされるソウル大学がアジアでさえ18位にとどまり、韓国国内でも5位に終わったという事実をわれわれはどう受け止めるべきだろうか。もちろん大学のランキングが絶対的なものではないし、実際に問題も多いとされている。しかしソウル大学がこれを言い訳にできないことは自分たちが最もよく分かっているはずだ。何をやっているか分からない大学の経営者や気楽な教授たちも何が問題で、どこに回答があるか知らないはずがない。詩人の鄭喜成 (チョン・ヒソン)氏は1971年、ソウル大学冠岳キャンパス起工式の祝辞で「誰かが道を尋ねてきたら、目を開けさせ冠岳を見せなさい」と語った。それが今やこの詩の言葉も光を失ってしまった。

キム・ミンチョル論説委員

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