【独自】韓国入管職員が面接調書偽造、難民申請拒否されたエジプト人に3700万ウォン賠償

 韓国出入国管理所の職員が面接調書を虚偽作成したため、難民地位認定まで2年間を要したエジプト人について、ソウル中央地裁は3日、韓国政府に3700万ウォン(約354万円)の賠償を命じる判決を下した。

 エジプト国籍のAさんは2016年5月、韓国に入国し、「エジプトで反政府運動に加わり、治安機関から脅しを受けている」という趣旨の難民申請を出入国当局に提出した。政治的、宗教的迫害を避け、母国を去った外国人が難民として認定されれば、韓国に住みながら、基礎生活保障などを受けられる。16年6月、入管職員と通訳がAさんの面接を行い、面接調書を作成した。問題は面接調書の内容がAさんの陳述と正反対だったことだ。

 面接調書にはAさんが「(政治的弾圧のせいではなく)金銭を稼ぐ目的で難民申請を行った」と述べ、「申請書に記載した事由は全てうそか」との質問に「はい」と答えたとの記述がある。また、「エジプトに帰れない理由があるのか」との問いには「ない」と答えたことになっている。難民申請を行った当事者が「自分は難民ではない」と自白しているような内容だ。

 この面接調書に基づき、Aさんの難民申請は却下された。しかし、Aさんが「調書が虚偽作成された」と反発すると、法務部は独自調査を経て、不適切な面接があったことを確認し、再面接を行い、18年にAさんを難民として認定した。その後、Aさんは韓国政府を相手取り、国家賠償訴訟を起こし、今回の判決が出た。面接が不適切だったことを理由とする初の国家賠償請求例となった。

 担当判事は「Aさんが面接当時、申請書の記載内容と矛盾する陳述を行うことは異例であり、調書にはそうした矛盾した記載が多く、全般的に形式的で簡略に記されている」とし、入管職員と通訳は故意または重過失で面接調書を虚偽作成したと判断した。また、「Aさんは自分が迫害を受けることが明らかな本国に強制送還されるかもしれないという精神的苦痛を受けたことは明白だ」とも指摘した。判決はまた、国には入管職員、通訳とともに共同賠償責任があると認定した。

クォン・スンワン記者

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