ジョー・バイデン米大統領が中国けん制のために約110カ国・地域の首脳を招待して9日と10日にオンラインで開催した「民主主義サミット」で、最大の話題は言論の自由の保障だった。バイデン大統領は開会のあいさつで「世界全域で言論の自由が脅かされている」と述べ、カナダなどほかの参加国も言論の自由を増進するために連帯するという考えを明らかにした。国名は挙げなかったが、中国やロシアなどの権威主義勢力と自由民主陣営を分ける決定的な違いは言論の自由の有無にあると考え、この点に踏み込んだのだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は言論の自由に言及する際、「フェイクニュースが防疫とワクチン接種を妨げている」と言った。
バイデン大統領は9日、開会のあいさつで「『言論の自由の擁護』『国際的な腐敗の追放』『民主的改革者支援』『民主主義のための技術の促進』『公正選挙の正義の防衛』などを含む『透明性と責任があるガバナンスの増進』のために議会と協力し、来年4億2400万ドル(約481億円)を投入する計画だ」と述べた。外交や対外援助プログラムを通じて民主主義と人権を増進するのに4億2400万ドル使うということだ。
この予算を投入する分野の中で、バイデン大統領は真っ先に「言論の自由」に言及した。同大統領は「自由で独立したメディアは民主主義の基盤だ。それを通じて一般国民は情報を手に入れ続け、政府に責任を問う」と言った。そして、「世界の独立したメディアを存続させるために、『公益メディアのための国際基金』という新たな多国間的な試みをするのに非常に重要な元手を出す」と述べた。
この開会のあいさつで、バイデン大統領は今回の会議に招待しなかった中国やロシアの名前を直接挙げることはなかった。ただし、「独裁者たちは権力を広げ、世界全域で影響力を拡大させながら、彼らの抑圧的政策と慣行が『今日の諸問題をより効率的に扱う道だ』と言って、正当化しようとするだろう」と言った。また、「民主主義の世界共同体として、我々は我々を統合する価値を擁護しなければならない。公平性、法治、言論の自由、集会の自由、出版の自由、宗教の自由と、各個人が生まれながらに持っているあらゆる人権を擁護しなければならない」とも述べた。
アントニー・ブリンケン国務長官も本会議の前日、オランダと共催した「言論の自由と持続性」という討論セッションで、言論の自由を強調した。ブリンケン国務長官は「民主主義サミットで我々は各国政府に対し、自由で独立したメディアを強化し、メディアが直面するさまざまな挑戦を解決するのを助けるための具体的な公約をしてもらうよう要求する」「米国はずっと粘り強くジャーナリストらに対する攻撃に焦点を当て、そうした攻撃をしてきた人々に対する責任を当だろう」と述べた。
カナダのジャスティン・トルドー首相も「言論の自由を守るための外交協力体『言論自由連帯』の共同議長として、表現と言論の自由のための支援を増やす」と語るなど、米国の言論の自由増進努力に応えた。
文大統領は言論の自由守護という大義に賛同し、フェイクニュース対応に焦点を当てた。文大統領は「フェイクニュースが真実を覆い隠し、嫌悪と憎しみをあおり、さらには防疫とワクチン接種を妨げても、民主主義制度は何もできない」「民主主義の逆説だ」と言った。また、「今は民主主義を壊す敵たちから民主主義をどのように守ることができるか、真摯(しんし)に話し合うべき時期だ」「防疫は国民たちの自発的参加がなければ成功しない。ワクチン接種は自分だけでなく隣人たちのための安全弁だ」「フェイクニュースに対して、『表現の自由の本質』を侵害せずに自浄力をどうはぐくんでいくのか、国際社会は知恵を出し合わなければならない」と話した。
文大統領のこの発言は、青少年ワクチン接種義務化などに対し反対する世論が高まっている中で飛び出したものだ。フェイクニュースは民主主義を後退させると同時にワクチン接種まで妨害し、防疫の支障にもなっている、という認識があるものと見られる。文大統領は今年9月にも国会議長団および常任委員長団を招いた昼食懇談会で、「外国でワクチン接種率を高めるのに支障をきたしている重要な要因も、ワクチンに関するフェイクニュースだ」と語っていた。
李龍洙(イ・ヨンス)記者、ワシントン=金真明(キム・ジンミョン)特派員