米NBCテレビ「駐韓米国大使の指名遅延、韓国人は屈辱感を抱いている」

中国・日本にはバイデンの側近を指名、韓国大使ポストだけ11カ月も空席
「韓米両国間の緊張を触発」

 米国のジョー・バイデン政権が駐韓米国大使を指名せず、韓米両国の間で緊張が触発されている。米国NBCテレビが16日(現地時間)に報じた。

 NBCテレビはこの日、複数の元職および現職の政権関係者の話を引用して「米国はなぜ駐韓大使がいないのか」というタイトルのニュースを報じた。現在、米国は韓国にクリストファー・デル・コルソ臨時代理大使(Charge d’Affaires ad interim)を置いている。

 NBCは「ジョー・バイデン政権の駐韓大使指名遅延で、長年の友邦である両国の間に緊張感がちらつきつつあるというのが、複数の元職・現職政権関係者らの分析」と語った。韓国のある元高官は「過去数カ月の間、(指名遅延に対する)批判があり、(批判の声は)次第に大きくなっている」と語った。米中央情報局(CIA)分析官出身のスミ・テリー氏(ウィルソン・センター内、現代自・KF韓国歴史および公共政策研究センター長)は「韓国の官僚は米国の官僚と、何度かこの問題を取り上げてきた」と語った。

 NBCによると、韓国のある議会関係者は「まだ米国大使が指名されていない状況について、韓国人は屈辱感(insult)を抱いている」と明かしたという。

 さらにNBCは、韓国の隣国である日本と中国には既に米国大使が指名されたという事実が、緊張感をさらに強めている-と報じた。バイデン大統領は今年8月、ベテラン外交官のニコラス・バーンズ元国務次官とラム・イマニュエル元シカゴ市長をそれぞれ駐中大使と駐日大使に指名した。二人ともバイデン大統領の側近に挙げられる人物だ。

 この件を巡り、米国のある元高官は「韓国は候補すらなく、日本と中国に候補者を置いているのは侮辱的」と指摘した。

 これについて韓国政府の高官は、NBCの取材に対し「米国の大使がまだ任命されていなかったり指名されていなかったりする国は韓国だけというわけではない」とし「われわれは米国政府が従うべきプロセスのあることを理解している。日本と中国の大使は既に決まったといっても、プロセス以上の意味はない」とした。ただし「しかし現実的な理由により、駐韓米国大使がすぐに決まるのがよい」とも語ったという。

 バイデン政権の高官は、駐韓米国大使の空席と韓国人の懸念について尋ねる質問に対し、予告すべき人事発表はない、とだけ答えた。

 バイデン政権が発足してから11カ月になるが、米国の海外大使ポスト中、半分以上は「空席」という状況だ。空席なのに大使の指名すら行われていない場所も全体のおよそ26%に達し、かつてのオバマ・トランプ政権時代より著しく遅い。

 バイデン政権の大使任命は、認証を担当する連邦議会上院外交委で、野党の共和党の強い反対にぶつかっている状況だ。上院外交委の一員で「対ロシア強硬派」のテッド・クルーズ上院議員(共和党、テキサス州)は、ロシアからドイツまで伸びる天然ガスのパイプライン「ノルド・ストリーム2」事業に対する米国政府の制裁を要求し、認証手続きの進行を拒否している。

 これを巡り、米国のある議会関係者は「駐韓米国大使候補が誰になろうとも共和党によって(任命が)遅延する可能性は高いが、指名者がいることは信頼を構築し、韓国に対するバイデン政権の深い関与を示す上で有用だろう」と語った。

ワシントン=イ・ミンソク特派員

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