【寄稿】コロナ禍の日本で国益を優先する国家主義が浮き彫りに(上)

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【エコノミー朝鮮】崔仁漢の日本探求:新型コロナ発生2年に見る日本

 新型コロナウイルス感染症が発生してから2年たった。この2年間における新型コロナ対応過程で各国の特性がはっきりと表れた。オミクロン株発生で最終的な評価をするのはまだ早いが、日本は2021年12月現在、先進国の中で良い評価を受けている方だと言える。

【グラフ】日本の新型コロナ一日新規感染者数の推移

 「マニュアル社会」と呼ばれる日本は、これまで経験したことのない大災害である新型コロナ流行初期に右往左往していた。東京五輪を経て感染者は今年夏に一日2万人台まで増えた後、減少に転じた。今月に入ってからは100人余りにとどまっている。新型コロナ危機という状況において、ひたすら耐える日本人の忍耐力と日本社会の安定性は際立っていた。一方、対外的に見ると、11月30日に取った外国人全面入国禁止措置のように閉鎖的で国の利益を絶対的に優先する国家主義的な傾向が確認された。

 日本政府は2020年7月に予定されていた東京五輪を開催しようと間際まで粘ったが、同年3月25日になって延期を決めた。当時の安倍晋三首相は緊急事態宣言を3月7日と16日の2回にわたって段階的に実施した。外出自粛措置も強制力はなく、国民の賛同を要請する程度だった。マスク配布や緊急災害支援金をめぐっても混沌(こんとん)とした。

■東京五輪が終わるや新型コロナへの対応変わる

 全世界から批判的な意見が寄せられたのにもかかわらず、2021年7月に東京五輪が強行された。その過程で、遅れたデジタル行政や医療システムにより感染者・死亡者が急増し、国際的に恥をかいた。しかし、辛抱強い国民のおかげで大きな混乱なく危機を乗り越えた。今年10月以降、感染者・重症者は大幅に減少する傾向にある。日本政府は11月30日に外国人の新規入国を禁止した。11月8日からビジネス目的の短期滞在者・技能実習生・留学生などに対して条件付きの入国を許可したが、わずか20日間で外国人の入国に関する政策を一転させ、日本の対外的閉鎖性を露呈した。海外在住の日本人も12月1日から年末まで帰国便の新規予約が禁止されたが、国民の反発によりたった3日で禁止措置が取りやめになった。

 今回の外国人入国禁止措置は、東京五輪開幕前に施行した防疫措置とはあまりにも違う政策だ。当時は新型コロナ感染拡大を理由に「五輪反対」という世論が圧倒的に強かったが、日本政府は国益レベルで五輪開催を押し通した。個人の安全と自由、国家間の自由な移動を保障する自由民主社会の基本価値を無視する「国家主義日本」の実体があらわになった。

 今年6月初めの時点で、日本で新型コロナワクチンを2回目まで接種した人は全人口の3.5%に過ぎなかった。今年8月には一日新規感染者数が連日2万人を超え、「防疫後進国」と批判された。ところが、9月からこの数値が急激に減って10月には1000人を切り、11月以降は100人余りとなっている。12月6日の一日新規感染者数は60人に過ぎない。2回目までワクチンを打った接種完了率は77.1%となっている。

 日本の新型コロナ感染者数・重症者数急減は「ミステリー」と呼ばれるほど世界でも話題だ。一部では「検査数を減らしているため」という誤った情報も出ている。今年夏と現在で日本国民が新型コロナ検査を受ける条件に変わった点はない。医療界では、一日新規感染者が1万-2万5000人だった今年7-8月の軽症・無症状者数を一日10万-20万人と推定している。彼らが回復して「自然免疫」を獲得し、ワクチン接種と共に相乗効果をあげている、というのが専門家らの分析だ。

 「日本人はファイザー社やモデルナ社のワクチンを集中的に接種したために感染者が少ない」という主張も説得力に欠ける。ほかの国でも同じワクチンを接種しているが、感染者数という結果が異なっているからだ。新型コロナ変異ウイルスが日本国内で「自己消滅した」という説もあるが、科学的な根拠はない。

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