英FT紙「サムスン・LGなど韓国大手企業、米ワシントン政界ロビー強化」

 「サムスン電子やSKハイニックスなど韓国の半導体大手企業が米ワシントンの政界ロビー活動に特に力を入れている」と英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が3日(現地時間)、報道した。米国と中国の対立で制裁に直面している中国企業に半導体を供給するには、米政府の許可が必要だからだ。

 同紙によると、サムスン、現代、SK、LGの韓国4大財閥グループ企業がワシントンでロビー活動を展開しているという。同紙は「これらの企業は『半導体や電気自動車バッテリーなど、戦略的に敏感な製品は米国本土で生産しなければならない』というワシントンの政界の圧力を受けている」と説明した。

 また、LGに関しては、SKイノベーションと米国の間で行われたバッテリー訴訟の影響で、来年ワシントンにロビー事務所を開設する予定だ」という説明もあった。電気自動車バッテリーを作るLGエナジーソリューションの競合企業・SKイノベーションは、米国で数十億ドル(数千億円)規模の法的訴訟を行った。

 匿名希望のLGエナジーソリューションの役員は、同紙に「ワシントンの政界と『つて』のある米国人を雇うつもりだ」「米政府・議会とのネットワークを強化しなければならない」と語った。

 その上で、「変化する世界情勢に迅速に対応し、米中関係が悪化する中でグローバル・サプライチェーンの事業リスクを減らす必要がある。国際貿易秩序も変化しているし、ESG(環境・社会的責任・企業統治)の義務もある」と説明、「ワシントンに我々の立場を伝える効果的なチャンネルが必要だ」と付け加えた。

 同紙は「韓国の大手企業がワシントンの政界でロビー活動に拍車をかけているのは、米国が制裁リストに掲載している中国企業に半導体を供給し続けるには、米政府の輸出許可が必要だからだ」と説明している。該当の中国企業の中には、通信機器関連グループのファーウェイ(Huawei、華為技術)や半導体企業SMIC(中芯国際集成電路製造)が含まれている。これに先立ち、米商務省は2020年11月9日から2021年4月まで、ファーウェイとSMICに1030億ドル(約12兆円)の輸出を許可している。

 世界2大メモリチップ・メーカーの1つ、SKハイニックスは先月、米国事業を管理する内部部署を新設した。これはインテルのNAND型フラッシュメモリ事業を90億ドル(約1兆450億円)で買収する作業を終えるための措置だ。 同紙が引用したアナリストらの見方によると、SKは中国・無錫のDRAM施設に先端設備を導入するのが難しくなり、米国に新たなウェハー(半導体基板)工場を建設することを検討中だという。

 ロイターは昨年11月、「SKハイニックスはオランダ企業ASMLが作る最先端の極端紫外線(EUV)装備を無錫工場に投入する計画だったが、ホワイトハウスがこれを許可しなかったと見られる」と報道している。SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長は「米国にウェハー工場を建設する計画はない」と言いながらも、「条件を探っているだけだ」と先月、語った。

 サムスン電子は米国で半導体事業をリードするデバイスソリューション(DS)部門に初めて社長級の役員を任命したが、同紙はこれについて、「テキサス州テイラーに170億ドル(約1兆9740億円)規模の半導体工場を建設する計画の中から出た決定だ」と説明した。

 ワシントンでロビー活動を強化しようと力を入れているのは、韓国の大手企業とライバル関係にある台湾企業も同じだ。

 米アリゾナ州に120億ドル(約1兆3900億円)を投入して工場を建設している世界最大の半導体ファウンドリ企業TSMC(台湾積体電路製造股)は、ジョー・バイデン米大統領が出した半導体補助金520億ドル(約6兆380億円)の一部を確保するため活発なロビー活動を行っている。米商工会議所会長を務めた経験のあるニコラス・モンテラ氏を政府関係部署長として昨年雇用し、2019年にはインテルの最高ロビイストを務めたピーター・クリーブランド氏をグローバル政策および法律部門の副社長に据えた。

イ・ヨンソン記者

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