中国に借金を返せないスリランカ…「債務の沼」にはまっていく一帯一路

中国への返済額33億8000万ドル 「債務返済調整してほしい」と要請
「中国、発展途上国を債務不履行にさせた後、経済的に従属させている」批判拡散

 最悪の経済難で国家債務不履行の危機に追い込まれているスリランカが、中国に債務調整を要求した。これについて、中国の広域経済圏構想「一帯一路(陸上・海上シルクロード)」事業に参加する条件で過度な借款を受けたことが財政危機につながったものという見方がある。

 AP通信やロイター通信などが10日に報じたところによると、スリランカのゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領は9日、同国を訪問した中国の王毅外相と会談で、「新型コロナウイルスによる経済危機の解決策として、債務返済調整を考慮してくれれば大きな助けになるだろう」と述べたとのことだ。

 スリランカの現在の外貨保有高は16億ドル(約1844億円)で、この10年間で最低の水準だ。年内に返済すべき対外債務は70億ドル(約8066億円)を超える。特に、中国に返済しなければならない債務は、国有企業に対する融資を除いて計33億8000万ドル(約3895億円)に達する。このため、「中国の一帯一路プロジェクトは参加国を『債務の沼』にはまらせて、経済的に従属させている」という批判が再び巻き起こっている。中国は経済条件を考慮せずに収益性のない事業を支援し、参加国を債務不履行状態に陥らせた後、これを利用して軍事拠点を確保しようとしている、ということだ。

 中国は過去10年間、一帯一路プロジェクトを通じてスリランカに50億ドル(約5762億円)以上貸し、高速道路・港湾・空港などの基盤施設を建設した。しかし、スリランカはハンバントタ港の建設に投入された14億ドル(約1613億ドル)を返済できず、2017年に中国国営港湾企業に99年の期限で港湾運営権を譲らなくてはならなくなった。英紙ガーディアンは「米国とインドは当時、ハンバントタ港がインド洋で中国の軍事的基盤になる可能性があると警告した」と報道した。

 ラージャパクサ大統領は王毅外相に輸出品約35億ドル(約4033億円)に対する関税条件を調整することも要請した。また、新型コロナ感染予防規定を順守することを前提に、中国人観光客のスリランカ訪問を再び許可する案も提案した。国内総生産(GDP)の約10%を観光産業に依存するスリランカは、新型コロナによる観光業の低迷で大きな打撃を受けている。

キム・ジウォン記者

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