韓国憲法裁、朴槿恵政権の開城工業団地閉鎖に合憲判断

 2016年に北朝鮮が核実験やミサイル発射実験による挑発行為に及んだことを受け、北朝鮮と韓国の共同事業である開城工業団地の稼働を全面中断した朴槿恵(パク・クンヘ)政権の措置について、韓国憲法裁は27日、措置は適法な手続きに違反しておらず、財産権の侵害には当たらないとの判断を示した。憲法裁に違憲性の確認を求める憲法訴願が提出されて以来、判断までに5年8カ月を要した。

 開城工業団地非常対策委員会は2016年5月、韓国政府が開城工業団地の稼働全面中断で国民の財産権を侵害し、正当な補償を行わず、信頼保護の原則に違反したとして、憲法裁に憲法訴願を提出していた。これに対し、憲法裁は今回、裁判官の全員一致で訴願を棄却、却下した。憲法裁は「開城工業団地は代表的な南北経済協力事業地区であり、その運営中断が北朝鮮に対する経済制裁措置とあり得ることは明らかだ」とした上で、「北朝鮮を経済的に孤立させ、核開発を無力化するという国際社会の制裁方式に符合しており、中断措置は適法な手段と判断される」と指摘した。また、「政府は北朝鮮の核・ミサイル開発に対する国際社会の懸念が解消されるなど条件が整えば、工業団地を再稼働できるように、全面閉鎖ではなく、中断措置を取った」とし、「期間を定めずに開城工業団地の運営を中断した決定が必要な限度を超える行き過ぎた措置だとは言えない」と判断した。中断措置が国務会議(閣議)の審議と国会との協議、利害関係者の意見集約手続きを経ておらず、適法な手続きの原則に反するとする請求人の主張も退けた。

 朴槿恵政権は16年1月、北朝鮮が4回目の核実験を行い、同年2月に長距離ミサイルを発射したことを受け、対北朝鮮制裁の一環として、同年2月10日、開城工業団地の稼働を全面中断するなどの措置を取った。それを受け、北朝鮮は翌11日、開城工業団地内の韓国国民の全員追放、資産凍結措置を発表した。その後、韓国の企業経営者、労働者ら280人余りが全員、韓国側に引き揚げ、開城工業団地での協力事業は全て中断した。進出企業は16年5月、政府の措置が憲法に違反するとして、憲法訴願を提出した。韓国統一部は今回の決定について、「憲法裁の判断を尊重する。政府は今後も開城工業団地の再開と進出企業の困難解消に引き続き努めていく」とコメントした。

イ・セヨン記者

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