韓東勲検事長「柳時敏氏のうそで4回も左遷された」

 チョ・グク元法務部長官を巡る事件の捜査を指揮してきた韓東勲(ハン・ドンフン)司法研修院副院長(検事長)は27日、名誉毀損の罪で起訴された元盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団理事長、柳時敏(ユ・シミン)被告の裁判に証人として出廷し、「柳氏や今の権力者はまるでどんなことをしても、自分たちのことは捜査してはならないという超憲法的な特権階級かのように行動した」と述べた。

 柳被告は2019年12月と20年7月、動画投稿サイトのユーチューブで、「検察が盧武鉉財団の口座をのぞいたという事実が分かった」「当時韓東勲がいた反腐敗強力部が(口座を)見た可能性がある」と述べ、韓氏の名誉を毀損したとして、21年5月に起訴され、審理が続いている。柳被告は21年1月、発言内容について、「疑惑は事実ではなかったと判断する」と公開謝罪した。

 ソウル西部地裁に証人として出廷した韓氏は、柳被告と法廷で初めて対面した。韓氏は証言席で柳被告の発言でどんな被害を受けたのかという検事の質問に対し、「現職検事で唯一、4回も(人事で)左遷された」とした上で、「柳元理事長が謝罪するまで1年半の間、捜査権を個人的に乱用した悪者の検事になった。チョ・グク氏の捜査など権力による不正の捜査を行ったことに対する報復だと思う」と主張した。19年に大検察庁反腐敗強力部長として、チョ・グク氏の事件を捜査を指揮した韓氏は、20年1月に釜山高検次長検事に異動。同年6月以降は法務研修院研究委員に異動し、京畿道の竜仁分院と忠清北道の鎮川本院で勤務後、21年6月に司法研修院副院長に任命された。

 韓氏は裁判前にも取材陣に対し、「柳氏は自分のことを『御用知識人』と呼ぶが、知識人の使命は弱者の側に立って発言することだ。御用知識人というのは、『サムギョプサルを食べる菜食主義者』や『親日派の独立闘士』のようにとても欺瞞(ぎまん)的だ」と語った。また、民主党の大統領候補、李在明(イ・ジェミョン)氏が「大統領選で落ちれば、検察がない罪もでっち上げ、(自分を)監獄に送ることになると思う」といった発言に及んだことに触れ、「それはちょうどこの政権が私に対してやったことだ」と批判した。

 柳被告は法廷で裁判官が「(韓氏と)和解協議を行う意向があるか」と尋ねたのに対し、「私には意向があるが、きょう見たところ、(韓氏が)応じそうにない」と述べた。韓氏も「和解する考えはない」と話した。

キム・ミンギ記者

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  • ▲韓東勲検事長(左)と柳時敏・元盧武鉉財団理事長

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