【萬物相】「現代スポーツのミステリー」 中国サッカー

【萬物相】「現代スポーツのミステリー」 中国サッカー

 中国の習近平国家主席が2011年、韓国のある人物から 朴智星(パク・チソン)のサインボールをプレゼントされた時、「中国がワールドカップ(W杯)に出場し、W杯を招致し、W杯で優勝するのが願い」と言った。習主席は自身のことを「球迷(チウミ=サッカーの熱狂的なファン)」と称している。執務室には自身がサッカーボールを蹴っている写真もかかっている。2013年のメキシコ訪問時は、1986年のW杯でメキシコ代表チームを指揮したボラ・ミルティノヴィッチ監督が2002年のW杯で中国チームを本選出場に導いたことに言及した。

 2015年、中国・少林寺で武術の修行を積んでいる若者40人余りが毎日サッカーボールでトレーニングしているという報道があった。武術の名人ではなく、メッシのようなサッカーのスターを育てようというのだ。トレーニング責任者は「サッカーに少林武術の精神が加われば効果が高まるだろう」と言った。そのころ、中国は「サッカー崛起(くっき=サッカーによって国を栄えさせること)」のためサッカーを小中学校の必修科目に指定し、中国全土に2万以上の「サッカー学校」を建てるという計画も発表した。

 中国が1日、ベトナムで行われた2022年W杯カタール大会アジア最終予選でベトナムに1-3で敗れ、またもや本選出場がかなわなかった。2002年以外は一度も本選に出場したことがない。旧正月の夜に「惨事」が起こると、中国人たちは「腹いっぱいのブタばかり集まっているサッカー中国代表チームは解散せよ」と言ってテレビを壊したり、「1979年の中越戦争敗北よりも屈辱的なこと」と激憤したりした。FIFAランキングも中国(74位)の方がベトナム(98位)より上だし、中国は1956年以降、66年間にわたりベトナム戦で無敗だった。

 中国人は自分たちの言葉で、サッカーができない理由をいろいろと分析している。ある人は「賭け事が好きで八百長が多いから実力が上がらない」という。事実、中国リーグでは大きな八百長スキャンダルが頻繁に起こる。「中国代表選手は高額の年俸をもらっているから、これ以上努力するわけがない」とも言う。年俸10億ウォン(約9500万円)の選手になるには、小さいころから監督にわいろを渡し、出場機会をたくさん得なければならない。実力ある有望選手はお金がなくて外されるという。「メッシやロナウドになれそうでも、貧しい有望選手は工場に行く」ということだ。「中国人の個人主義的な性格と、チームワークが重要なサッカーは相性が合わない」という分析もある。だが、バスケットボールやバレーボールなどでは中国がアジア最強と言われている。

 中国は「サッカーは2400年前の古代中国の『蹴鞠』が起源だ」と主張する。「習皇帝」と言われる習主席が自らサッカーをたしなんでいるだけでなく、サッカー人口も多い。人口14億人がサッカーに熱狂し、中国企業はとてつもない金をサッカーに注いでいる。それにもかかわらず、中国のサッカーが低迷しているのは、まさに「現代スポーツのミステリー」(米時事週刊誌タイム)だ。

ヤン・ジヘ・スポーツ部記者・論説委員

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