インドで現代自動車不買運動、SNS投稿が原因

 インド市場で販売好調だった現代自動車がソーシャルメディア(SNS)への投稿内容のせいでインド・パキスタン間の領土紛争に巻き込まれた。

 発端は今月5日、現代自のパキスタンでの提携企業、現代ニシャットの公式SNSアカウントに掲載された文章だ。内容は「カシミールの兄弟たちの犠牲を忘れず支持しよう。彼らは自由のために戦っている」というものだった。カシミール地方はインドとパキスタンがそれぞれ自国領だと主張しており、第1次、第2次印パ戦争のきっかけとなった。問題の文章が掲載された日はパキスタンの祝日であるカシミールデーだった。

 投稿内容がインターネット上で広がると、インドのネットユーザーは「現代自がパキスタンの味方をした」「我々を 侮辱した」などと興奮。インドのSNSやポータルサイトには「現代車を予約していたがキャンセルした」といった書き込みがあった。現代自グループは昨年、インドで69万台を売り上げ、現地の日系メーカー、マルチ・スズキに次ぐ2位だった。

 問題の投稿は現代ニシャットの現地社員が行ったものだという。現代自は2017年、パキスタンのニシャットグループに半製品を提供し、ニシャットが最終組み立てと販売を行う内容の協定を結んだ。その際に設立されたのが現代ニシャットだ。現代自関係者は「現代自は現代ニシャットには出資しておらず、経営にも関与していない。会社はニシャットグループに所属している」と説明した。 

 突然騒動に巻き込まれた現代自インド法人は「現代自はインドとインド国民の発展に向け、引き続き努力していく」とし、事態収拾に乗り出した。しかし、インドの怒りは容易に静まりそうもない。インド外務省は7日、張宰福(チャン・ジェボク)駐インド大使を呼び出して抗議。インドのジャイシャンカル外相も韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官に電話をかけ、遺憾の意を表明した。

 インドでは領土や外交紛争が現地に進出する外国企業に逆風となるケースが少なくない。2020年には中国との国境衝突後、中国製品の不買運動が起きた。ムンバイ市はモノレール事業に唯一入札した中国企業との契約を取り消し、ハリヤナ州政府は中国企業が参加する発電所プロジェクトを中止した。

キム・アサ記者

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