チェ・ミンジョン価値ある銀、残り2周でスパートするも0.052秒届かず

チェ・ミンジョン「残念だけど今の涙は喜びの涙」
4位から2人抜くも2位に終わる「つらかった今までのことを思い出した」
男子代表は5000mリレー決勝進出…中国、1人で転倒したのにまた救済

 普段からあまり表情を変えないことから「氷姫」と呼ばれているチェ・ミンジョン(24)=城南市庁=がフィニッシュラインを通過した後、しばらく競技場を離れることができずに泣いた。今回の五輪前、体も心も傷付き、韓国代表チームのエースというプレッシャーに黙々と耐えなければならなかったつらさがにじんでいる涙だった。

【写真】チェ・ミンジョンの腕をつかむシュルティング

 韓国ショートトラック女子の看板選手チェ・ミンジョンが11日、北京冬季五輪の同種目1000メートル決勝(北京・首都体育館)に出場、1位(1分28秒391)のスザンネ・シュルティング(24)=オランダ=に続く2位(1分28秒443)でフィニッシュラインを通過して、価値ある銀メダルを手にした。キム・ミンソク(22)=城南市庁=のスピードスケート男子1500メートル銅メダル、黄大憲(ファン・デホン、22)=江原道庁=のショートトラック男子1500メートル金メダルに続く、韓国選手団にとって3つめのメダルだ。

 レース中盤から後半にかけて4位で滑走していたチェ・ミンジョンは、あと2周というところでアウトコースから追い越しをかけ、2選手を抜いて2位に浮上した。チェ・ミンジョンはフィニッシュライン前でインコースを攻略、スケートシューズのブレードを前に出して逆転優勝を狙ったが、0.052秒というわずかな差で優勝を逃した。シュルティングは2018年の平昌大会に続き、同種目2連覇を成し遂げた。

 ミックスゾーン(共同取材区域)で会ったチェ・ミンジョンに涙の意味について聞くと、「本当に私もなぜこんなに涙が出るのか分かりません。五輪に向けて準備してきた中で、つらかった今までのことを思い出したからだと思います」と語った。

 チェ・ミンジョンにとって通算3つめの五輪メダルだった。自身にとって初めての五輪だった4年前の平昌大会で2冠(1500メートル、3000メートルリレー)に輝き、韓国ショートトラック界のエースになった。そして、1000メートルでは初めて五輪メダルを首にかけた。

 チェ・ミンジョンは4年前の平昌大会でも1000メートルの決勝に進出したが、沈錫希(シム・ソクヒ、25)=ソウル市庁=と衝突して悔しい思いをした。昨年10月、沈錫希のスマートフォンのメッセージが公開され、「沈錫希が故意に衝突した」という疑惑も浮上したが、大韓スケート競技連盟が調査した結果では「証拠なし」と結論付けられた。沈錫希のメッセージにはチェ・ミンジョンをひぼう・中傷する内容もあったため、チェ・ミンジョンは最近まで深刻な心労にさいなまれた。

 体調も良くなかった。けがが多かったし、新型コロナウイルス流行の影響で練習もあまりできなかった。昨年10月の国際スケート連盟(ISU)ワールドカップ(W杯)第1戦では試合中に相手選手と2回衝突して転倒、右ひざを痛めた。W杯第2戦には出場できず、早々に帰国して治療とリハビリに専念した後、第3戦と第4戦に出場した。

 今回の五輪では7日の500メートル準々決勝でフィニッシュラインまであと2周を残して2位で滑走していたが、転倒してしまい涙をのんだ。それでも9日の3000メートルリレーでアンカーを務めてチームを決勝進出に導き、ムードを変えた。最後の周回ではアウトコースから上がり、3位から2位に浮上する豪快なレースをした。韓国のショートトラック女子代表は今回の五輪でチェ・ミンジョンに泣き、チェ・ミンジョンに笑っている。

 チェ・ミンジョンは試合後、「つらかったですが、私をいっそう成長させてくれたありがたい時間でした。あれほどつらい思いをしたから、銀メダルを取ることができました」「今日の結果を楽しむのは今日までにして、明日からは3000メートルリレーと1500メートルで良い結果を出せるように頑張ります」と語った。

北京=ソンウォンヒョン記者、イ・ヨンビン記者、チャン・ミンソク記者

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