「太陽光が迷惑施設に」…日本の環境省、10年ぶりにブレーキ

山林破壊・土石流への懸念「再検討」を求める公式見解
どこの山地も太陽光パネル…静岡県など全国で土砂災害が相次ぐ
昨年は数十人が犠牲になる事故も発生
住民は反対運動から集団訴訟へ
日本の地方自治体175カ所が太陽光パネルの設置を規制

「太陽光が迷惑施設に」…日本の環境省、10年ぶりにブレーキ

 日本の環境省が埼玉県小川町の大規模太陽光発電(メガソーラー)事業について「抜本的な見直しと事業実施の再検討を強く求める」と発表し、経済産業省は今月24日にこの事業についての最終判断を下すことにした。地域における山林破壊や大規模土砂災害への懸念がその理由だった。

 日本の環境省は2020年4月以降、出力が3万キロワットを超える大規模太陽光発電施設の建設に環境影響評価(アセスメント)を行っているが、これによって実際に建設へのブレーキがかかったのはこれが初めて。山口壮環境相は「一部の再生可能エネルギー事業が地域の環境に悪影響を及ぼす『迷惑施設』になっている」と強く批判しており、この問題は日本のエネルギー関連業界で重要なテーマへとなりつつある。

 今月8日付の日本経済新聞は「脱炭素社会の実現に不可欠な大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設を巡り、事業者と住民間でのトラブルが全国で相次いでいる」「再生可能エネルギーの大量導入時代の旗手として注目されるメガソーラーだが、逆風が吹き荒れる」と報じた。東日本巨大地震や福島原子力発電所の事故により日本で成長を続けてきた太陽光発電が地域の「民弊施設」に転落したのだ。日本政府は太陽光施設の普及に向け2012年に固定価格買い取り制度(再生可能エネルギーによる電力を一定期間にわたり買い取る制度)を導入したが、それから10年で変化が出始めたのだ。

 これまで日本の各地で山を削ってのメガソーラー建設が相次ぎ、これに反対する住民運動も広がりを見せている。太陽光発電はその規模がここ10年で一気に約10倍に広がるなど急速に普及したが、これに伴う反発や摩擦も大きくなっているのだ。産経新聞は山地や休耕地に太陽光パネルが雑草のように設置される現象を「黒い植民地」と表現した。

 とりわけ地域住民は「山地のメガソーラーは台風や豪雨による土砂災害や洪水などの自然災害を引き起こす」と懸念している。奈良県平群町では住民約1000人が昨年3月にメガソーラー建設業者を相手取り集団訴訟を起こした。資本金10万円の零細企業が約48万平方メートルの山林に太陽光パネル5万3000枚を設置するため木の伐採を進めているためだ。住民は「零細企業は建設後の管理がずさんになる恐れがある」と指摘した。実際に日本政府による太陽光電力買い取り価格も徐々に下がっており、全国各地で事後管理を放棄し連絡が途絶える事業体も出てきている。

 昨年7月には静岡県熱海市伊豆山のメガソーラー周辺から10万立方メートルの土砂が流れ出し、16人が犠牲になる事件が発生したが、これも反対世論を大きく刺激した。環境省が正式に問題提起した埼玉県小川町でも昨年の台風被害により工事現場で土砂が崩落し流れ出したことが報告された。毎日新聞が昨年6月に全国47都道府県の再生可能エネルギー担当者を対象に行った調査では79%が「メガソーラー設置と運用について住民とのトラブルを抱えている」と回答した。その内訳は「傾斜面での土砂被害(74%)」「景観の悪化(72%)」「山林伐採に伴う自然破壊(59%)」などの順となっていた。

 そのため一定規模以上のメガソーラー事業を規制する自治体も全国で増え続けている。地方自治研究機構の集計によると、太陽光発電設備の設置を規制する条例は2014年に初めて導入され、その後16年の26カ所から昨年は175カ所に増えた。日本で「日照量1位」とされる山梨県でさえ昨年「土砂災害防止法」という条例が制定され、土砂災害危険地域でのメガソーラー新規建設を禁止した。

 日本政府は2030年までに炭素排出量を13年比で46%削減する目標を掲げ、電力全体の15%以上を太陽光で賄う計画を進めている。しかし全国各地で太陽光への不信が深まり、目標の修正が迫られているとの指摘もある。日経産業新聞は「太陽光施設建設に向け環境への影響をしっかりと把握し、地域住民の理解を得る過程が必要」と指摘した。

東京=崔銀京(チェ・ウンギョン)特派員

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