「2010年W杯南アフリカ大会抽選会、北朝鮮に不正頼まれた」

エリクソン元イングランド監督が告白

 イングランドとメキシコのサッカー代表チームで監督を務めたスヴェン=ゴラン・エリクソン氏(74)=スウェーデン=が「2010年の国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会前、北朝鮮側から『本選の組み合わせ抽選で操作をしてほしい』と頼まれた」と告白した。

 エリクソン氏は現地時間21日に放送されたBBCラジオ5の「最も奇妙なスポーツ犯罪」という番組で、北朝鮮の平壌を訪れた時に経験した出来事を語った。同氏はイングランドのプロサッカー4部リーグのチーム、ノッツ・カウンティのディレクターをしていた2009年10月に訪朝した。北朝鮮に行きたくないと思っていたが、チームを買収したラッセル・キングという人物がしつこく頼んできたので、仕方なく承諾したという。

 エリクソン氏は「北朝鮮で会った人物が『私たちを助けてもらえないか』と言ったので、サッカーシューズやサッカーボールなどを支援してほしいのだと思った」と話した。そのため、同氏は軽い気持ちで「喜んで手伝う」と答えたとのことだ。

 ところが、北朝鮮が望んでいたのは「抽選での不正」だったという。W杯南アフリカ大会の出場権を獲得した北朝鮮は「比較的楽な組」に入れるよう、エリクソン氏に協力してほしいと頼んだ。エリクソン氏は「絶対に不可能だ。誰もそれはできないし、やろうと思うだけでも犯罪だ」と話した。だが、北朝鮮はエリクソン氏が抽選で不正が可能なのにもかかわらず、やりたくなくて拒否していると考えた様子だったとのことだ。

 エリクソン氏は「驚いたことに、彼らは私が抽選で不正ができないということを信じていなかった。とても奇妙だった」と回想した。世界サッカー界には当時、北朝鮮がエリクソン氏に対し、北朝鮮代表チームの監督や技術顧問をオファーしようとして訪朝させたといううわさが飛び交った。

 エリクソン氏は2010年初め、ノッツ・カウンティのディレクターを退職した。「チームを5年以内にプレミアリーグ(1部リーグ)にまで引き上げる」と言っていたラッセル・キングが実際には何の役割も果たせなかったためだ。キングは「北朝鮮の鉱山に対する独占開発権を持つスイスの投資会社の資金を引き出す」「バーレーン王室の資金を運用している」などと言っていた。だが結局、詐欺など複数の経済犯罪容疑で2019年に英国警察に逮捕され、懲役6年を言い渡された。

 エリクソン氏はノッツ・カウンティを辞めた後、コートジボワール監督代表に就任した。そして偶然にもコートジボワールは2010年のW杯南アフリカ大会でブラジル、ポルトガル、北朝鮮と同じG組になった。1966年のW杯イングランド大会ベスト8以来44年ぶり、通算2度目の本選出場を果たした北朝鮮は、ブラジルに1-2、ポルトガルに0-7、コートジボワールに0-3と負けて脱落した。コートジボワールも同組3位(1勝1敗1分け)でベスト16進出はならず、エリクソン氏と北朝鮮の奇妙な縁は幕を閉じた。

成鎮赫(ソン・ジンヒョク)記者

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