【3月25日付社説】蔚山選挙工作・原発不正・大庄洞疑惑の捜査を阻止するために検察の捜査権を剥奪するとは

 大統領職引き継ぎ委員会が24日に予定されていた法務部の業務報告を中止した。朴範界(パク・ポムゲ)法務部長官が尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領の公約である「検察の直接捜査対象拡大」「検察総長に対する法務部長官の捜査指揮権廃止」などに反対の立場を表明したことを受け、業務報告を受ける理由がないと判断したものだ。

 尹次期大統領の検察関連の公約は、文在寅(ムン・ジェイン)政権が自分たちの犯した不法行為をもみ消すため、検察の捜査対象を縮小し、政権の不正を捜査した検察総長を追放するため、法務部長官が捜査指揮権を悪用した出来事の再発を防ぐ趣旨だ。文政権の不正について、盾の役割を果たしてきた朴長官がそれに反対するのは予想されたことだった。

 民主党はさらに踏み込み、検察の捜査権を全面的に剥奪する法案をわずか40日余りを残す文大統領の任期中に急いで国会で成立させる構えとされる。国会で170議席余りを占める民主党が法案を成立させ、文大統領の任期中に公布してしまえば、正式な法律となる可能性がある。尹次期大統領が就任したとしてもどうすることもできない。立法によるクギ刺しと言える。これは文在寅(ムン・ジェイン)政権の任期が終了しても検察が文政権の不正を捜査できないようにしているようにしか見えない。そうでなければ、こんな強引な手を使うはずはない。

 青瓦台の蔚山市長選介入は文大統領の友人を当選させるため、大統領秘書室内の8つの組織が野党候補を無理やり捜査し、他の候補を買収するなど、選挙犯罪に軍事作戦的に関与した事件だ。大統領が弾劾されることもあり得る案件だ。文大統領が総責任者だった月城原発1号機の経済性分析不正は国の規律を乱すレベルの行為と言える。こうした不正をもみ消すため、政権寄りの検察は文大統領の直前で捜査をストップし、政権支持の大法院長は裁判を先延ばししてもみ消した。

 数千億ウォンの特別待遇と数百億ウォンの賄賂が飛び交った大掛かりな汚職犯罪である大庄洞不正も検察が6カ月にわたり、本格捜査を開始せずにいる。与党候補の政治生命を救うための大法院裁判取引疑惑事件も検察と警察が爆弾の押し付け合いをしている。こうした全ての不正は適正に捜査を行いさえすれば、すぐに真相が明らかになる。それゆえ文政権は法律で検察が捜査できないようにしようとしているのだ。

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