【3月30日付社説】5年間北と中国に振り回されて「誰も揺るがせない国」になっただなんて

 青瓦台(韓国大統領府)が文在寅(ムン・ジェイン)大統領の言葉と文章をまとめた書籍「誰も揺るがせない国」を発行した。文大統領は2019年に日本が半導体核心素材の輸出規制に乗り出した際「誰も揺るがすことのできない国になることを誓う」と述べた。それから3年後、そのような国を築いたと宣言したのだが、現実は果たしてそうか。

 文在寅政権は任期中一貫して北朝鮮への低姿勢を続け、金正恩(キム・ジョンウン)兄妹に振り回された。5回にわたり南北・米朝首脳会談を行ったが、「テレビ用イベント」として以外に実際の成果はなかった。北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長らから「ゆでた牛の頭」「怖がる犬」「特等のばか」などと侮辱されても何も言えなかった。さまざまなミサイルを撃たれても「挑発」という言葉さえ使えなかった。金正恩氏が「韓米訓練を中断せよ」と言うと「北朝鮮と協議できる」と述べ、与党・共に民主党は「北朝鮮が嫌がるので訓練するな」と主張し、最終的に訓練をコンピューターゲームにしてしまった。金与正氏が「北朝鮮へのビラ散布を禁じる法律を作れ」と言うと、それをそのまま実行した。北朝鮮が「作れ」と言う法律を作ることが実際に行われたのだ。北朝鮮は今極超音速ミサイルや大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、戦術核や原子力潜水艦の開発まで公言している。韓国独自でこれらを防ぐ手立てはない。これでも「誰も揺るがせない国」を築いたと言えるのか。

 今の韓国政府が中国と約束した「三不」は国の軍事主権を外国に差し出したものだ。THAAD(高高度防衛ミサイル)を追加で配備せず、米国のミサイル防衛網に入らず、韓米日軍事同盟を締結しないなど、これらはわが国が自ら決める主権に属する問題だ。なぜ外国の許可を受けるのか。あり得ないことではないのか。文大統領は「中国は高い山の峰で、韓国は小さい国」として「中国の夢に従う」と言った。中国の習近平・国家主席は「韓半島は歴史的に中国の一部だった」と述べた。韓国の大統領が派遣した特使を地方長官が座る下座に2回も座らせたときもこれを受け入れた。屈従だ。中国とロシアの戦闘機は韓国の防空識別圏を大手を振って飛び、中国の艦艇は西海の中間線をいつでも越える「西海工程」を行っているが、これらにさえも沈黙している。

 今もなお韓国を揺るがす国は北朝鮮と中国だ。彼らは核とミサイル、暴力的な圧迫で韓国を脅迫している。これに比べると日本との歴史対立は副次的な問題だ。ところが文大統領は任期の最初から最後まで日本に対してのみ角を立てた。北朝鮮と中国には5年間ずっと振り回され、任期末になって「誰も揺るがせない国」になったという。いくら任期末の自画自賛用書籍とはいえ、あまりにもひどすぎないか。

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