文在寅(ムン・ジェイン)政権は国連人権理事会による北朝鮮人権決議案の共同提案国に4年連続で加わらなかった。これに対して米国の元政府高官や人権団体などが失望と遺憾の意を表明した。北朝鮮による人権侵害や反人権犯罪を非難し、改善を求める今回の北朝鮮人権決議案は韓国を除く55カ国が共同提案し、今月1日に採択された。北朝鮮は3日「人権決議を強く糾弾し、全面排撃する」とのコメントを出した。
ロバート・キング元米国務省北朝鮮人権特使は2日、米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」に出演し「国際社会の大多数が北朝鮮政権による深刻な人権じゅうりん問題に批判的な立場を取っており、国連では関連する事案に対して採決なしに合意するレベルに達した」とした上で「韓国政府が国際社会によるこの幅広い共感から外れる行動を取るのは遺憾だ」と指摘した。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)アジア政策局のジョン・シフトン局長は「国連人権理事会で韓国政府が今回も北朝鮮への圧迫を優先順位から除外したことに失望した」と述べた。これに先立ちHRWは先月24日、29の国際人権団体と共同で韓国政府に対し「人権決議案の共同提案国」に加わるよう求める書簡を文在寅(ムン・ジェイン)大統領、金富謙(キム・ブギョム)首相、鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部(省に相当、以下同じ)長官、李仁栄(イ・インヨン)統一部長官に送付した。
北朝鮮人権委員会のグレッグ・スカラチュー事務総長は「韓国政府はなぜ普遍的価値である北朝鮮の人権問題を保守性向の政権のときしか指摘しないのか理解できない」「保守や進歩に関係なく、一貫した政策を通じて北朝鮮の人権問題に向き合うべきだ」と指摘した。
北朝鮮外務省は3日に報道官声明を出し「米国による不法で無道な反共和国敵対視政策の産物である人権決議をわが国に対する厳重な主権侵害行為、政治的挑発として強く糾弾し全面排撃する」と主張した。
今年採択された国連の北朝鮮人権決議はこれまでの決議と大きな違いはないが、表現の自由の保障について「北朝鮮当局の責任」と強調し「情報を追求、入手、伝達する自由」をその例として挙げた。北朝鮮が反動思想文化排撃法を制定し、韓国のドラマや音楽の視聴・流通はもちろん、韓国式の言葉を使うことまで過度に取り締まり処罰していることを指摘したものとみられる。
李竜洙(イ・ヨンス)記者