【4月4日付社説】済州4・3事件の追悼、軍人や警察官の犠牲者も忘れるな

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は3日、済州4・3犠牲者追悼式で「犠牲者と遺族の名誉回復のために努力する」との考えを示した。済州4・3事件は南朝鮮労働党の暴徒と軍・警察が衝突した際、数多くの済州道民が犠牲になった事件だ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時、申告された犠牲者の数だけで1万4000人に上る。肉親を失った遺族は「暴徒の家族」という汚名を着せられ長い間苦しんできた。

 国家が国民のつらい犠牲に対して謝罪し、慰労することは遺族の傷を癒やし現代史の悲劇を終わらせるため絶対に必要だ。尹次期大統領は追悼式で「無実の犠牲者を国民と共に温かく抱き、痛みを分かち合うことは自由と人権という普遍的価値を指向する自由民主主義国家として当然の義務だ」と述べたが、この言葉にもそのような意味が込められている。

 ただしその一方で済州4・3事件は大韓民国政府樹立を阻止しようとした南朝鮮労働党の武装暴動がきっかけになったことも否定できない歴史的事実だ。国を崩壊させようとする勢力が反乱を起こせば軍と警察は当然これを鎮圧しなければならない。その鎮圧過程で南朝鮮労働党とは無関係の民間人も無念の血を流したわけだが、これを理由に「北朝鮮の指示を受けた国家反逆行為」という本質そのものを忘れてはならない。

 歴代の大統領の中で4・3追悼式に出席したのは故・盧武鉉元大統領と文在寅(ムン・ジェイン)大統領だけだ。それ以外の大統領が参加しなかった理由は「4・3犠牲者の追悼は南朝鮮労働党による国家転覆行為そのものへの肯定的評価」と間違って受け取られかねないためだった。

 尹次期大統領が大統領就任前から4・3追悼式への参加を決意した背景には、「極端に分裂した国と国民を一つにしたい」という思いがあったからだろう。国民統合のためには無実の犠牲者を慰めると同時に、武装暴動により大韓民国の誕生を妨害しようとした北朝鮮と南朝鮮労働党の犯行を明確に記憶することも同じく怠ってはならない。また尹次期大統領が言及した「無実の犠牲者」には「国を守るため犠牲になった軍人や警察官」も当然含まれなければならない。

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