【4月5日付社説】北朝鮮住民の人権問題に最後まで背を向けた文大統領、「進歩左派」の看板下ろせ

 文在寅(ムン・ジェイン)政権は国連の北朝鮮人権決議案共同提案への参加を4年連続で見送った。国連の北朝鮮人権特別報告官が先日の報告書で「北朝鮮の人権状況はここ6年でさらに悪化した」と指摘し、複数の国際人権団体は書簡を通じて文大統領に「任期の最後には北朝鮮人権決議案に加わってほしい」と求めたが、文在寅政権は最後まで顔を背けた。韓国政府はかつて11年連続で北朝鮮人権決議案の先頭に立っていた。

 文在寅政権は発足と同時に北朝鮮による人権侵害の事例を集める韓国政府のシステムに必要な予算を大幅に削減した。6年前に制定された北朝鮮人権法で設立が義務づけられている北朝鮮人権財団事務局についても「財政損失」を理由に閉鎖した。北朝鮮人権大使は一度も任命せず、北朝鮮人権団体への支援も取りやめた。それでも韓国外交部(省に相当)次官は国連で「北朝鮮住民の人権を実質的に改善するため努力してきた」と主張した。そんな事例が一つでもあればぜひ明らかにしてほしいものだ。

 さらには金与正(キム・ヨジョン)の一言で「対北ビラ禁止法」を制定した。これにより米国議会では「人権聴聞会」の対象国となった。帰順の意向を伝えた北朝鮮の漁船乗組員2人を凶悪犯との理由で強制北送したが、このときは国連人権報告官が「深く懸念する」とコメントした。「迫害の恐怖が存在する場所に強制的に行かせてはならない」と定めた国際人権規約に違反したのだ。国連高等弁務官事務所も文在寅政権によるこれら一連の行動に懸念を表明した。韓国が北朝鮮の人権弾圧に同調する国となってしまったのだ。

 文大統領は「平和が来れば北朝鮮の人権問題も改善する」という趣旨の主張を繰り返してきたが、これは北朝鮮政権の顔色をうかがい、北朝鮮住民の人権問題から顔を背けるための詭弁(きべん)だ。北朝鮮体制の性質上、いかなる平和が来ても住民に対する人権じゅうりんは間違いなく続くだろう。旧西ドイツは1970年に旧東ドイツと第1回の首脳会談を行ったときから「人権問題」を大きく取り上げた。一貫した信念に基づいて東ドイツ政府に圧力を加え、「見返り」を提示することで少しずつ東ドイツ住民の人権を取り戻した。

 あきれたことに文大統領と共に民主党は自分たちを「進歩左派」と呼んでいる。文大統領は「人権弁護士」とも名乗っている。世界のどこの進歩左派が別の目標のために人権を無視し、犠牲にしているのか。そのうその看板からまずは下ろすべきだ。

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  • ▲昨年の国連総会で基調演説を行う文在寅(ムン・ジェイン)大統領/聯合ニュース

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