【4月6日付社説】「三不」に加え「一限」も中国と約束してTHAAD正式配備を阻止したのか

 韓国政府が「三不」に加え、在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)の運用を制限するいわゆる「一限」まで中国の要求を受け入れていた疑惑について、大統領職引き継ぎ委員会は「軍事主権を侵害する深刻な事案であり、実体的な真実を国民に説明すべきだ」とコメントした。引き継ぎ委員会のある幹部は「政府が中国の『一限』要求を受け入れようとした強い疑いがある」と述べた。

 「三不」は2017年の韓中協議で「韓国は米国主導のミサイル防衛システムに参加せず、THAADを追加配備せず、韓米日軍事同盟を推進しない」と約束したことを意味する。いずれも一国の軍事主権に属する内容だ。これに他国の介入を認めるのは主権国家としてあり得ないことだが、文在寅(ムン・ジェイン)政権は中国と「三不」を約束したと伝えられている。中国と事前に合意していたかのような当時の韓国政府の行動からはそう考えざるを得ない。韓国政府は「三不協議によってTHAAD問題は封じ込めた」という趣旨の説明を行っていた。

 ところがこれに加えて中国は「THAADレーダーに中国方向への遮断膜を設置せよ」などTHAADの運用に制限を加える要求もしていたという。中国共産党の複数の宣伝機関は当時「三不と共に一限は中国への脅威を除去するために韓国が取るべきマジノ線」と主張していた。韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官(当時)は「中国が追加の要求を行った事実はない」と説明したが、中国側が何の根拠もなく上記のような主張はしないはずだ。2017年当時といえば文大統領がTHAAD配備に対する中国の反発をなだめ、訪中に全力を傾けていた時期だ。中国と「『三不』に加え『一限』まで約束したのでは」との疑いは当然浮上してくる。

 実際に文在寅政権は5年の任期で一貫してTHAADの正式配備を先送りしてきた。慶尚北道星州郡のTHAAD基地に対する環境影響評価は文大統領の指示を受け、より多くの時間がかかる環境影響評価に突然変更された。通常は1年前後、長くても2年あれば終わるはずだったが、5年にわたり最初の手続きさえ行われなかった。これについては「地元住民や市民団体が評価協議会への参加を拒否したため」という納得し難い理由ばかりを並べ立てた。左派団体による抗議行動と妨害で長期にわたり基地には物資さえ搬入できず、兵士らはコンテナでの生活を余儀なくされた。米国防総省のオースティン長官はTHAAD基地を放置する韓国政府に対し直接不満をぶちまけた。

 韓国政府が中国からの「一限」要求をひた隠しにし、実質的にその要求を受け入れていた可能性は当然考えられる。「三不」であれ「一限」であれ、主権国家が外国からの要求で自らの主権を制約するいかなる約束も最初から無効だ。

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  • ▲慶尚北道星州郡のTHAAD基地に搬入された発射台。2017年9月7日午前撮影。/聯合ニュース

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