【4月9日付社説】「ロシアの虐殺」をかばう朝・中…両者と同じ側にいた韓国外交は方向を変えるべき

 国連が緊急総会を開き、ロシアの人権理事国資格をはく奪した。93カ国が賛成した。安保理常任理事国が国連傘下の機関から追放されるのは初めてだ。ロシアがウクライナで行った民間人虐殺の証拠があふれるほど出てきたからだ。広範囲にわたる遺体や性暴行・拷問被害が公開されるや、国連の会議場は野蛮と反文明に対する怒りと嘆息で騒然となった。明白な戦争犯罪から目を背けるのなら、もはや文明国ではない。

 ところが北朝鮮と中国は、今回もロシアをかばい、反対票を投じた。北朝鮮の国連大使は「政治的策略」だと述べ、中国の国連大使も「人権という名の圧迫に反対する」と発言した。子どもを含む、数百の遺体の写真があふれるほど出てきているのに、「証拠不十分」だと言い張った。しまいには、北がロシアに武器支援を行うだろうという報道も出た。中国は「中ロ協力には限界も、タブーもない」とした。さらに朝・中はロシアの侵攻への糾弾や経済制裁にも反対した。朝・中・ロが独裁協力を越え、野蛮と反文明の軸として連帯を強化している。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は5年間ずっと、このような朝・中・ロの側へと漂流していた。文大統領は中国に行って冷たい扱いを受けながらも、韓国は「小さな国」、中国は「高い山の峰」だと言った。「THAAD(高高度防衛ミサイル)3不」で軍事主権も譲歩した。中国の軍用機が我が家のごとく韓国の防空識別区域へ出入りし、中国の軍艦が韓国の西海を内海にしようとする「西海工程」を展開しても、抗議声明一つ出すことはなかった。文大統領は、平壌の綾羅競技場での演説で「韓半島から戦争の恐怖と武力衝突の危険を完全に除去することで合意した」と宣言した。「民族の新たな未来のために、こつこつと歩んでいる金正恩国務委員長に賛辞と拍手を送ると言った」とも演説した。そうして北から返ってきたのは、金与正(キム・ヨジョン)氏による核武力の脅迫だった。文大統領は、韓国の大統領として初めてロシア連邦議会下院で演説した。プーチン大統領には「最適の協力パートナー」だと言った。

 戦争で廃墟と化した韓国が先進国の敷居のところまでやって来られたのは、米国をはじめとする自由民主陣営の側に立つ選択をしたからだ。未来の繁栄も同様だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が在韓米軍基地を訪問して「韓米同盟の心臓」であることを強調したのに続いて、大統領職引き継ぎ委は「ロシアの虐殺を強く糾弾する」とした。文明勢力との同盟を復元する第一歩としなければならない。

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  • ▲北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使が、人権理事会からのロシア追放に反対する発言を行っているところ。/写真=聯合ニュース

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