【4月12日付社説】全国裁判官会議、韓国大法院長に前例のない問題提起

 裁判所の職級別判事による組織である全国裁判官代表会議は11日、定期会議を開き、金命洙(キム・ミョンス)大法院長の裁判官人事について、公式な説明を求めたという。大法院長が人事の原則と慣行に反したとして、一線の判事が問題提起を行うのは初めてのことだ。

 金命洙大法院長は2017年9月の就任以降、革新傾向の判事の集まりであるウリ法研究会、人権法研究会の出身者を相次いで要職に据えた。同じ裁判所での勤務期間を裁判所長で2年、部長判事で3年とする人事基準は無視した。文在寅(ムン・ジェイン)政権が犯した不法行為に関する事件の裁判が集中しているソウル中央地検には金命洙大法院長と同じウリ法研究会出身の最側近、閔中基(ミン・ジュンギ)氏が地検長としては異例となる3年間在職した。同様に、ウリ法研究会出身のキム・ミリ部長判事もソウル中央地検から4年間動かなかった。

 判事の派閥人事は「政権に甘い裁判」のための布石と見るべきだ。キム・ミリ判事は文在寅政権最大の不法行為の一つである蔚山市長選介入事件の裁判で公判を1年3カ月にわたって一度も開かなかった。別の判事が公判期日を決めると、キム判事は突然休職を申請し、金命洙大法院長はそれを許可した。判事が新たに着任しても記録を最初から読まなければならないため、裁判がさらに遅れるのは避けられない。蔚山市長選の事件は検察による起訴から2年3カ月が過ぎたが、一審判決すら出ていない。前例がない裁判もみ消しだ。

 金命洙大法院長は就任あいさつで、「裁判官の独立を侵害しようとするいかなる試みも身を挺して阻む」と述べたが、自ら裁判官の独立を侵害した。さらには文在寅政権下でのチョ・グク事件、ドルイドキング事件などで有罪判決を下した一線判事を脅そうと、強引な「弾劾」を強行し、後輩判事をスケープゴートにした。その過程でうそをついたことが露見した。法治国家で大法院長がうそをつくことは想像すらできないことだ。それでも大法院長のポストに居座っている。

 今、金命洙氏率いる大法院は丸ごと捜査対象だと言わざるを得ない。大庄洞開発のブローカーが与党の大統領候補のために大法官と裁判取引を行った疑惑が強まり、現職大法官が自分は大庄洞の録音ファイルに登場する「あの方」ではないと直接弁明する事態にまで発展した。真相を究明し、責任を負うべき人物は金命洙大法院長なのだが、何の言葉も聞かれない。

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  • ▲発言する金命洙大法院長(高陽=聯合ニュース)

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