【4月13日付社説】共に民主党の文在寅・李在明擁護法強行、こんな無理筋もあるのか

 韓国与党の共に民主党は12日、議員総会を開き、検察の捜査権を完全に剥奪するための法案を4月国会で処理することを党議決定した。4時間にわたる議論の過程では反対する議員も一部いたが、最後には全員が拍手し、満場一致で追認したという。この法案はこれまで検察が担当していた「腐敗」「経済」「公職者」など6大犯罪に対する捜査権を奪い去る内容だ。

 ところで、民主党は法案が国会で成立後、施行までには3カ月の期間があるとして、捜査権をどの機関に移管するのかも定めずに党の方針を決めてしまった。文在寅(ムン・ジェイン)政権と李在明(イ・ジェミョン)元京畿道知事の不正に対する捜査をひとまず阻止しようという意図をあらわにした格好だ。民主党は6大犯罪の捜査権を警察もしくは新設を目指した重大犯罪捜査庁のどちらに移管するのが自分たちに有利になるのか天秤にかけてきた。ところが、政権交代が決まった状況で判断がつかなくなり、とりあえず検察の捜査を封じる法案で「クギ」を刺すことにしたのだ。

 警察出身の民主党議員は最近、「検察の捜査権を廃止するからといって、それが警察に移るのではなく、そのまま蒸発してなくなる」と指摘した。民主党指導部は「国民のための検察改革」だと言っているが、彼らの本心を知らない人などいない。最近検察が捜査に着手した産業通商資源部のブラックリスト事件をはじめ、月城原発1号機の経済性評価でっち上げ、蔚山市長選介入など現政権に関わる疑惑、大庄洞不正、弁護士費代納、クレジットカード不正使用など李在明元知事関連の事件に対する捜査をどこもできないようにしてしまおうといういうのが本音だ。

 こんな状況だけに、文政権の「友軍」だった民主社会のための弁護士会(民弁)も論評で、「いくら正しい方向でも、さまざまな検討や補完が必要だ」と懸念を表明した。大韓弁護士協会は「シラミが嫌で家を燃やすようなものだ」と強く批判した。正義党の代表は「検察捜査権完全剥奪を強行するほど国民的な名分と共感が得られているのか」と疑問を呈した。法務部次官、検察総長の立場で文政権の不正疑惑に「免罪符」を与えようとした金浯洙(キム・オス)氏までもが突然態度を変え、「検察の捜査機能を廃止すれば、検察総長として職務を遂行することに何の意味もない」と発言した。

 大統領任期をほぼ終えた政権政党が自分たちの過ちを隠そうと捜査機関の捜査権を奪うというのは、世界的にもほとんど例がない。できないことはない独裁者が居座っている後進国でこそ起きそうな状況だ。想像を超越する民主党の暴挙を黙認してきたのはほかでもない文大統領だ。国を5年間率い、離れようとしている者として、最低限の品位を守る道は「検察捜査権完全剥奪」に対する拒否権行使であることを理解してもらいたいと思う。

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