対北ビラ禁止法問題については「一部の人権団体が『政府は北朝鮮に焦点を合わせた特定NGO(非政府組織)の活動を制限する』と言った」と伝えた。米国務省は昨年の報告書でもこの問題を取り上げ、「表現の自由が制限される恐れがある」として懸念を示していた。
報告書は韓国における腐敗の現状に関する代表的な事例として京畿道城南市の大庄洞宅地開発不正事件、チョ・グク元法務部長官とその妻・鄭慶心氏による娘の入試不正、韓国土地住宅公社(LH)役員による土地投機疑惑に対する捜査を取り上げた。さらに解職された教師を不当に特別採用した容疑で起訴されたソウル市のチョ・ヒヨン教育監や、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の国政壟断(ろうだん、利益を独占すること)事件での有罪と仮釈放の事例にも言及した。
報告書は昨年に続き今年もチョ元長官夫婦による入試不正を「政府による腐敗と透明性不足」の事例として取り上げた。昨年8月にソウル高等裁判所が一審判決を支持し、鄭慶心氏に対して娘の大学・大学院入学目的の入試詐欺容疑で懲役4年と罰金刑を宣告したことも伝えた。
大庄洞事件については「検察が確保した証拠によると、この事業の1%の株を持つ資産運用会社の火天大有が利益の分配メカニズムで有利な立場を確保するため、城南市の職員と共謀し、政治家たちに賄賂を渡した疑いがある」と説明した。
米国務省は北朝鮮の人権問題を取り扱った別の報告書では「重大な人権問題」として「政府による不法かつ恣意(しい)的な殺害」「政府による強制的失踪」「政府当局による拷問および残酷かつ非人間的で侮辱的な待遇や処罰」などを取り上げた。
報告書はさらに北朝鮮に抑留されている韓国人の事例を今回初めて紹介した。報告書は「恣意的な拘禁」の項目で「6人の韓国人(キム・ジョンウク、キム・グクキ、チェ・ジュンギル、キム・ウォンホ、コ・ヒョンチョル、ハム・ジンウ)が北朝鮮に抑留されている」とした上で「彼らの一部は8年にわたり拘禁されている」と指摘した。米国務省のリサ・ピーターソン次官補代行(民主主義・人権・労働担当)は12日に行われたブリーフィングで「北朝鮮は全世界で最も抑圧的な権威主義国家の一つだ」と批判した。
ワシントン=イ・ミンソク特派員