【寄稿】韓国はなぜウクライナを支援すべきなのか(下)

 尹次期大統領は何が重要かを理解しているようだ。尹次期大統領はロシアによる侵攻を「国際法と国連憲章に違反する侵略行為」と述べた。さらに「これは他人事ではない」と繰り返し言及した。これは非常に望ましいことで、ワシントンの政界も印象深く受け止めている。問題は尹次期大統領が言葉だけでなく行動によって何ができるかということだ。これまでウクライナに対する韓国の直接的な支援は微々たるものだった。ウクライナ軍に軍服や装備を一部で提供し、人道的な次元で1000万ドル(約13億円)を支援した。また韓国に滞在している3800人余りのウクライナ人のビザ延長を認め、家族を招待する手続きも簡素化した。

 これらの措置はウクライナへの支持を示すものだが、韓国がウクライナと民主主義を守る意思を国際社会に示すには不十分だろう。韓国はウクライナへの武器支援を考慮する必要がある。たとえば韓国の軽攻撃機、K9自走砲、K10弾薬運搬装甲車などを支援すれば良いだろう。これは「グローバルなプレーヤーになる」という新政府の言葉とも合致するものであり、世界レベルにある韓国の防衛産業を示すきっかけにもなる。さらに韓米同盟の観点からもバイデン政権に大きな反響を呼び起こすだろう。

 もちろんこのような動きは韓国とロシアとの関係を揺るがす要因になるかもしれない。しかし韓国はすでにロシア制裁に参加した立場にあるため、ロシアは今や韓国が西側諸国の側にあると考えている。韓国はロシアによるエネルギー貿易関連の制裁など報復を恐れているが、これはむしろ安定したサプライチェーンを構築するきっかけになると考えるべきだ。

 韓国はTHAAD(在韓米軍の高高度ミサイル防衛システム)事態を通じて中国とロシアが経済的相互依存性を武器にすることを学んだ。そのため新政府は中国とロシアへの依存度を下げ、新たなサプライチェーンを拡大しなければならない。貿易の多角化は反自由民主諸国の脅威によりもたらされる未来の脆弱性を補う唯一の方策だ。自由主義国際秩序を支持する韓国は危機に直面したウクライナをより積極的に支援しなければならない。

ビクター・チャ米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長

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