【4月16日付社説】検察総長との面談避けて沈黙する文大統領、「不正隠し法」に賛成するのか

 韓国与党「共に民主党」は15日、検察の捜査権を完全にはく奪する刑事訴訟法・検察庁法の改正案を議員172人全員の名義で提出した。文在寅(ムン・ジェイン)政権と李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事の不正疑惑に対する検察捜査を阻むため、「立法での暴走」を始めたのだ。共に民主党は来月初めまでにこの法律を処理すると公言した。

 この法律については検察から法曹界・学界・市民団体に至るまでこぞって反対している。弁護士団体「民主社会のための弁護士会(民弁)」や市民団体「参与連帯」も懸念を表明した。共に民主党非常対策委員会の朴志ヒョン(パク・チヒョン)共同委員長も「国民の疲労と政治嫌悪を拡大させてはならない」と述べた。金浯洙(キム・オス)検察総長(日本の検事総長に相当)は同法改正案に対する拒否権行使を要請するため、文大統領に面談を申し入れた。しかし、文大統領は金検察総長との面談を事実上、拒絶した。青瓦台(大統領府)側は「国会決定前までは見解を出さない」と言っている。国政の責任者であり、この法律の当事者である大統領が沈黙し、後ろに隠れているのだ。

 文大統領は現在施行中の検察・警察捜査権分離を力ずくで通過させた。自身の大統領選挙公約だと言っていた。それなのに、制度施行から1年もたたずして共に民主党が再びこれを崩そうとしていることに何の見解もないというのか。捜査権はく奪は検事に逮捕・拘束・押収・捜索令状請求権限を付与した憲法の趣旨とも合致しない。自身が任命した検察総長が「法案阻止に職をかける」と言い、弾劾まで口にしているのに、面談を避けて隠れるというなら責任回避だ。

 文大統領は自身が責任を取ったり、見解を表明したりしなければならなくなると、そのたびに後ろに隠れたり、沈黙したりしてきた。自身の「30年来の友人」を蔚山市長にするため青瓦台が選挙工作をした時も、文大統領は見解を明らかにしなかった。朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長や呉巨敦(オ・ゴドン)前釜山市長のセクハラ(性的嫌がらせ)事件にも沈黙した。「過ちがあったら選挙に候補者を出さない」という党憲を自分で作っておきながら、共に民主党が党憲を変えてソウル市長・釜山市長選挙に候補者を出した時、一言も発しなかった。チョ・グク元法務部長官問題や与党の言論仲裁法強行、北朝鮮の相次ぐミサイル発射時も同様だった。有利な時は表に出てきて自慢し、不利な時は後ろに隠れてきたのだ。

 文大統領が沈黙を続けるなら、自身の不正を覆い隠すため国の司法体系崩壊をほう助したことになる。今回ばかりは表に出てきて共に民主党の暴走を止め、常識を取り戻すよう要請してほしい。任期最後の日まで責任を果たすというなら、これこそ今やるべきことだ。

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