日本で梅毒患者急増のミステリー

昨年の患者数7875人と過去最多…今年の増加ペースは昨年の1.6倍

 日本でかつてほとんどなくなっていた性病「梅毒」がこの10年間で急速に広がっていると毎日新聞が19日、報道した。患者急増の原因ははっきりしておらず、日本では「梅毒ミステリー」という言葉が飛び交っている。

 同紙の報道によると、今年に入ってから今月10日までの14週間に日本全国で報告された梅毒患者数は2592人(速報値)で、前年同期の1595人と比べ大幅に増えているという。同紙は「2022年の患者数は、過去最多を記録した21年の1.6倍のペースで報告されている」「専門医は『もはや普通の性感染症になった』と指摘する」と伝えた。昨年の日本の梅毒患者数は7875人で、1999年に統計を作成し始めて以来、最も多かったが、現在の傾向が続けば今年再び最多記録を更新する見通しだ。

 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因で発症するが、性行為などによって感染する。発疹などの初期症状を見逃して放置すると、脳・神経・目・心臓などを侵し、重大な合併症を引き起こすことがある。不妊・流産の危険性を高め、胎盤を通じて胎児に感染する可能性もある。日本では昨年、新生児の梅毒感染確認が21件も報告された。

 梅毒は日本で1940-1960年代に広がったが、抗生物質が普及して以降は急減し、1997年は500人程度にとどまった。このため、事実上なくなった病気という意味で「幽霊病」とも呼ばれた。しかし、梅毒の患者は2010年代から増加傾向が続いている。2013年に全国の患者数が1000人を突破して以降、2015年2000人台、2016年4000人台、2017年5000人台、2018年には7000人台を記録した。

 問題は梅毒患者増加の原因が「ミステリー」だという点だ。日本では外国人観光客による感染拡大説が有力だとかつては言われていた。梅毒は2013年から本格的に増加し始めたが、この時期が2012年12月に発足した安倍晋三第二次内閣による攻撃的な観光振興事業開始時期と一致するためだ。2018年に3000万人を越えた外国人観光客が日本国内で風俗店を訪れ梅毒拡大につながったということだ。だが、新型コロナウイルス流行で海外観光客の訪問が途絶えた昨年でも患者数が最多を記録し、この仮説は説得力を失っている。このほかにもソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを介した出会いが増えたためという説や、梅毒患者増加に関する報道が増えて検査を受ける人も増えたためという説などが取りざたされている。

東京=崔銀京(チェ・ウンギョン)特派員

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい