IMF「韓国の国家債務比率、尹政権末期には60%に肉薄」

赤字国債が2年連続で100兆ウォン増加

 新政府は零細自営業者のコロナ損失補償などを公約として掲げているが、それに必要な50兆ウォン(約5兆2000万円)規模の補正予算を編成するには赤字国債を発行しなければならない。

 韓国における昨年末時点での赤字国債発行残高は538兆9000億ウォン(約55兆8500億円)で、1年前に比べて101兆4000億ウォン(約10兆5100億円)増加した。赤字国債の増加額は2019年には34兆3000億ウォン(約3兆5500億円)だったが、コロナ1年目の20年には102兆8000億ウォン(約10兆6500億円)に急増し、昨年も100兆ウォン(約10兆4000億円)を上回った。

 今年文在寅(ムン・ジェイン)政権が計画していた赤字国債発行額は76兆2000億ウォン(約7兆9000億円)だが、2月に16兆9000億ウォン(約1兆7500億円)の第1次補正予算を成立させたことで、すでに11兆3000億ウォン(約1兆1700億円)の国債を発行した。新政府が50兆ウォン(約5兆2000億円)規模の第2次補正予算を成立させた場合、今年も赤字国債発行額は100兆ウォンを上回りそうだ。

 50兆ウォンを確保するために大統領職引き継ぎ委員会が提示した最初の方法は予算構造の見直しだ。しかし企画財政部(省に相当)の試算によると、今年の予算607兆7000億ウォン(約63兆600億円)のうち、構造を見直すことで調達できそうな財源は多くても10兆ウォン(約1兆400億円)ほどだという。政府の予算はそのほとんどが基礎年金や児童手当など関連する法律によって支出が決まっているからだ。

 2番目の方法は61兆4000億ウォン(約6兆3700億円)に達する昨年の超過税収のうち、今年に繰り越した3兆3000億ウォン(約3400億円)の歳計剰余金を活用する方法だ。しかしこの二つの方法で得られる補正予算の財源は20兆ウォン(約2兆1000億円)にも満たない。残り20兆ウォン以上はその財源を赤字国債で賄うしかない計算になる。

 専門家は「巨額の国債発行による市場金利の上昇」と「財政健全性の悪化」を懸念している。メリッツ証券のユン・ヨサム研究員は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は財政支出の構造調整を強調しているため、市場では国債の受給負担が一段軽くなると期待する雰囲気だが、補正の財源を賄うために数十兆ウォン(数兆円)の国債を発行すれば市場金利が再び上昇する恐れがある」と指摘する。

 今月11日時点での3年満期国債の金利は3.186%だが、これは2012年7月11日の3.19%以来9年9カ月ぶりの高い金利だ。今月19日には2.981%と小幅に下がったが、今後の補正予算の規模によっては再び3%台に上昇するとの見方が有力だ。

 赤字国債はどうしても財政健全性の悪化につながる。国内総生産(GDP)に占める国家債務比率は昨年47%だったが、国際通貨基金(IMF)は「尹次期政権の最終年となる2026年には危険水準とされる60%台に上昇する恐れがある」と予想している。

 租税財政研究院のパク・ノウク先任研究委員は「コロナ発生後は2020年に4回、21年に2回補正予算が組まれ、今年は大統領選挙を前に年初から補正が組まれる前代未聞の状況になった」とした上で「政界が行政府に圧力をかけ、財政支出を拡大するパターンが繰り返されている」と指摘した。

チョン・ソクウ記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
あわせて読みたい