【4月22日付社説】どれだけ多くの罪を犯せば「検察捜査権完全剥奪できなければ青瓦台の20人が監獄行き」と言うのか

 「検察捜査権完全剥奪」法案を巡り無所属の梁香子(ヤン・ヒャンジャ)議員は共に民主党から「検察捜査権完全剥奪を成立させられなければ文在寅(ムン・ジェイン)政権の青瓦台(韓国大統領府)から20人が刑務所に行くかもしれないので法案成立に賛成しろ」と言われたという。梁議員によると、強硬派のある議員は「これができなければ死ぬ」と言って何が何でもやる気だったようだ。梁議員は「しかし法案の内容を見ると、到底賛成できる内容ではなかった」と述べた。

 参与連帯公益法センターで所長を務めたヤン・ホンシク弁護士は「私も共に民主党からそんな話を聞いたが、(それを言った)共に民主党関係者が誰か公開してやろうか」とした上で「警察が自分たちを擁護してくれるとか、捜査力が弱いから耐えられると信じるその愚かさに驚いた」などと指摘した。共に民主党がありとあらゆる強引な方法を駆使して法案成立をごり押しする理由が「自分たちの不正に対する捜査をさせないため」という事実を自ら認めたのだ。この政権は過去5年間にどれだけ多くの犯罪に手を染めたのだろうか。

 青瓦台では文大統領の30年前からの友人を蔚山市長に当選させるため大統領秘書室の八つの組織が動いた。野党候補に対する強引な捜査を行わせ、他の候補者を買収し、選挙公約を取りまとめるなど軍事作戦を思わせるような選挙工作を行った。これによって青瓦台の首席と秘書官13人がすでに起訴されている。大統領が弾劾されかねない事件だが、検察の捜査は大統領の手前でストップした。文大統領による「月城(原発)1号機はいつ閉鎖するのか」という一言から原発の経済性評価捏造(ねつぞう)が始まった。長官は公務員らに対し「死にたいのか」と脅迫し、職員らは資料を捏造・隠蔽(いんぺい)・削除した。この問題でも逮捕されたのは実務担当者だけで、主犯に当たる文大統領はやはり捜査対象から外れた。裁判も長引いている。

 文大統領の娘とその家族の海外移住を支援した李相稷(イ・サンジク)議員は数百億ウォン(数十億円)の横領や背任などの容疑が明白だが、それでも捜査から逃れ公共機関のトップを経て国会議員になった。文大統領の後押しがなければ到底あり得ないことだ。文大統領はこの問題でも捜査から逃れた。産業通商資源部(省に相当、以下同じ)などのブラックリストに対する捜査は最近やっと始まった。李在明(イ・ジェミョン)元京畿道知事が関係する大庄洞不正、権純一(クォン・スンイル)元大法官(最高裁判事に相当)との裁判取り引き疑惑、弁護士費用代納、城南FC後援金の贈収賄疑惑、法人クレジットカードの違法使用事件についても捜査が待ち構えている。いずれも必ず真相を解明すべき問題だ。

 検察捜査権完全剥奪をごり押しする強硬派の議員らは検察の捜査対象になっている被疑者たちだ。黄雲夏(ファン・ウンハ)議員は蔚山市長選挙を巡る事件で野党候補を違法に捜査させた容疑で起訴され、崔康旭(チェ・ガンウク)議員はチョ・グク元法務部長官の息子を巡る不正入試で一審で当選無効の判決が宣告された。彼ら犯罪容疑者たちが逆に検察をなくそうとしているのが検察捜査権完全剥奪だ。こんなことが21世紀の大韓民国で起こっているのだ。

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