韓国全土にアフリカ豚熱拡大 ワクチンなくお手上げ状態(上)

京畿道・江原道一帯から慶尚北道まで流行拡大
致死率100%、諸外国はワクチン開発に総力
韓国は動物実験室さえ不十分
韓国政府「2024年までの開発難しい」

 野生のイノシシを介してアフリカ豚熱(African Swine Fever=ASF、以前の名称:アフリカ豚コレラ)が韓国全土に広がりつつあり、政府が対策準備に頭を痛めている。熱病にかかったイノシシが移動できないよう、移動経路の各地に鉄柵を立てたものの、十分でない状況だ。

 初めて野生のイノシシからASFが見つかったのは2019年、京畿道漣川郡でのことだった。このイノシシは北朝鮮から非武装地帯(DMZ)を通って南下してきたという説もある。これに対して、韓国環境部(省に相当)では韓国軍部隊と協議してイノシシの南下を阻止することを目標に、819億ウォン(約83億1400万円)かけて京畿道坡州市から江原道高城郡まで1418.3キロメートルにわたり鉄柵を設置した。しかし、南北を縦断する山脈「白頭大幹」に沿って移動するイノシシの経路を物理的に断ち切るのに十分でなかったということだ。京畿道・江原道一帯で発見されたASFは最近、政府の防衛線を突破して慶尚北道尚州市や忠清北道報恩郡まで広がっている。2019年に最初に発見された地点から慶尚北道尚州市功城面まで、直線距離にして239キロメートルも南下したということだ。

【フォト】韓国の養豚農家がデモ「豚コレラ、なぜ罪なき農家のブタばかり殺すのか」(2019年11月)

 ASFはヒトを含めイノシシ科以外の動物には感染しない「豚の伝染病」だ。しかし、感染速度が速く、致死率が100%近いため、養豚農家に広がると致命的な被害が出る。このため、対策づくりが急がれている。

 環境部が27日に明らかにしたところによると、ASFは今年673件発生し、累計2548件に達した。2019年以降これまでに21の農家が被害を受け、豚12万頭が殺処分された。新たに報告された民間農家被害事例はまだないが、ASFで被害を受けて殺処分を行った韓国国内21の養豚農家のうち、事業を再開したのは6カ所だけだ。現時点の被害地域は江原道・京畿道・忠清北道・慶尚北道などとなっている。政府は韓国全土のイノシシの5-8%がASFに感染したとみている。「韓半島(朝鮮半島)全域にASFが広がるのは時間の問題だ」と懸念されているのもこのためだ。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい