【コラム】19年ぶりに再び韓国を抜き去る台湾を見ながら(下)

 韓国が台湾を上回っていた当時の政権は盧泰愚(ノ・テウ)、金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)の各政権だった。それまで韓国政府にはそれなりに国家的な議題があった。朴正熙(パク・チョンヒ)政権の「漢江の奇跡」、全斗煥(チョン・ドゥファン)政権の物価安定に続き、盧泰愚政権の中露市場進出、金泳三政権の世界化、金大中政権のIT産業育成などだ。盧武鉉政権からは韓国の国家議題の中心が経済から国内政治に変わった。1980年代に社会運動に参加した人々が政治に本格的に進出した時期と重なる。時が過ぎるにつれ、韓国はどこに向かっているのか分からなくなった。「稼ぐ人よりも使う人が先」になった文在寅政権が代表的だ。巨額の借金をして、ばらまいたことを「業績」と呼ぶ国になった。民主党出身のベテラン政治家は「過去10年間の政治は政治ばかりをしてきた」と言った。その言葉は間違っているだろうか。

 21世紀は企業の世紀だ。科学技術と企業が国民を食べさせ、国防まで担う。「企業優先」の国が勝ち、「使う人ではなく稼ぐ人が先」の国の国民が結局はより幸せになる。世界は自国の産業に破格の支援を行っている。韓国は過去5年間、研究開発者が研究室にとどまれない硬直した労働時間週52時間上限制、世界で最も厳しい環境・安全規制などを導入した。必要な制度とはいえ、しっぽが胴体を揺さぶるのではないかと心配だ。SKハイニックスの竜仁半導体クラスターは、環境影響評価の遅延に加え、補償問題などで3年たっても着工できず、サムスン電子平沢半導体工場では住民の反発で5年間送電線を設置できない事態まで起きた。企業トップの最大の関心は依然として政治、司法的リスクだ。巨大労組は怪物になった。もはや企業はできれば工場を海外に建設しようとする。そうしたことの積み重ねが「台湾の韓国超え」予想につながっている。

 ソウル大経済学部のキム・セジク教授は、朝鮮日報とのインタビューで、「韓国の長期成長率が任期5年の政権ごとに規則的に1ポイントずつ低下している」と指摘した。長期成長率は基準となる時期以前の5年と以後5年の合計10年間の成長率を平均したもので、真の「経済実力」の指標になるという。金泳三政権期は6%だったが、文在寅政権期は1%と推定され、尹錫烈(ユン・ソクヨル)政権では0%になると予測した。キム教授は、0%の長期成長率を「経済氷河期」と呼んだ。 民主化以後、韓国は体には良いが、口には苦い薬の代わりに砂糖水ばかり飲んできた。それも「5年ごとにマイナス1%の法則」に影響を及ぼしたと思われる。尹次期大統領にもこのインタビューを一度読んでみることを勧めたい。

楊相勲(ヤン・サンフン)主筆

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