【コラム】任期残り5日の韓国体育相がなぜBTS緊急記者会見?

 国の根幹と直結した問題を急いで解決しようとする動きには、下心があり、必ず論争を生む。

 文化体育観光部の黄熙(ファン・ヒ)長官=共に民主党所属=は4日午前、「大衆文化芸術人芸術要員編入制度」新設の必要性を促すとして記者会見を開いた。二日前まで日程になかった、いわば緊急記者会見だった。次期長官人事聴聞の経過報告書採択も事実上まとまり、まもなく荷造りしなければならない長官が、時ならぬ世論の先鋒(せんぽう)に立ったものだ。担当記者たちはこのあきれた会見への出席を拒否した。

 いざふたを開けてみても目新しい内容はなかった。国威を宣揚した芸能人たちに対し、兵役免除に準ずる恩恵を与えるための兵役法改正案を速やかに通過させるべきだ、という主張を繰り返すことにより、「BTS(防弾少年団)特例法」を促したのだ。彼らの入隊が「全人類の文化的損失」とまで表現した。公正と平等という最も本質的な価値と直結し、国防部でさえ「慎重な検討が必要だ」と言って熟議を求めた敏感なこの問題を、任期終了直前に取り上げて再び火をつけたのだ。黄長官の任期はこの日を起点に五日しか残っていない状況だ。

 このワンマンショーは協治精神に違反するという評価が支配的だ。部処(省庁)のトップとしてこれ以上責任を取れないのに、争点となる議題を取り上げて次期リーダーシップの運営に大きな負担を与えたからだ。再び政治家に戻る本人が脚光を浴びるためにこの話を人質にしたというなら、これも非難されて当然だ。黄長官は「20代の若者たちに訴える」と言った。感性に訴えることではない。徴兵の現実的な条件を考慮し、兵役特例存続そのものに対する綿密な検討が必要だという意見など、さまざまな声が入り乱れている。ややもすると、今回の議論がBTSの外交行事賛助に対する見返りではないかという声まである。BTSにとっても決して有益なうわさではない。

 政権消滅の間際に国民の反発を押し切った「防弾法」が相次いで採決されている。去って行く彼らは責任を取らない。嵐が過ぎ去った後にその影響を受けるのはいつも国民だ。

チョン・ヒョク記者

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  • ▲4日、担当記者たちのほとんどが出席を拒否し、閑散とした会場で記者会見する黄熙(ファン・ヒ)文化体育観光部長官。写真=聯合ニュース

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