エスパー米元国防長官回顧録「在韓米軍の完全撤収、トランプが提案していた」

エスパー元国防長官、回顧録で明かす
「文政権はTHAADを放置…これが同盟に対する態度かと抗議した」

 米国のドナルド・トランプ前大統領が在任当時、在韓米軍の「完全撤収」を提案していたことをマーク・エスパー元国防長官が明かした。また、当時のトランプ大統領は2018年1月、戦闘兵力を除く在韓米軍家族および非戦闘員全員(4万6000人)を疎開させる方針を決定し、発表しようとしたが、土壇場で立場を変えたという。

 トランプ政権で最後の国防長官を務めたマーク・エスパー氏は、10日(現地時間)に公開した回顧録『神聖な誓い』(A Sacred Oath)で「トランプ前大統領が提案したものの一部は奇異だった」とし「在韓米軍の完全な撤収またはアフリカからの全ての米軍と外交要員の撤収というようなものだった」とつづった。エスパー元国防長官は、トランプ氏が言及した完全撤収については具体的に明かさなかったものの、2018年1月に当時のトランプ大統領によって実現される寸前だった在韓米軍家族および非戦闘員の全員退避計画については詳細に言及した。

 エスパー氏は「(国防長官になる前)米陸軍長官に任命されて2カ月目の2018年1月、国防総省から緊急電話がかかってきた」とし「午後に大統領が在韓米軍の非戦闘要員の疎開方針を発表しようとしている、というものだった」と記した。当時は2017年から続く北朝鮮の核、ミサイル実験に怒ったトランプ大統領が「私の核のボタンの方が(金正恩〈キム・ジョンウン〉のものより)大きくて強力」というツイートをたて続けに行って、北朝鮮に強硬対応していたときだった。

 エスパー元長官は「在韓米軍の家族を退避させるのは、戦争が迫っていることを暗示するものだった。これは韓国経済や株式市場に影響を及ぼすなど、韓国に『パニック』を呼び起こすであろう措置だった」「明確な説明は受けられなかったが、(幸いにも)誰かが大統領を止め、こうした退避方針がツイッターを通して発表されることはなかった」とし、その上で「トランプ大統領の任期序盤、北朝鮮との戦争の可能性は“本当に”存在するものだった」と記した。

 またエスパー元長官は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は中国に傾倒した、と指摘した。エスパー氏は回顧録で「米国と韓国はいずれも北朝鮮の脅威と並び、中国の長期的な戦略的挑戦にも直面している」としつつ「にもかかわらず、ソウルは通商、貿易、地政学という重力によって北京の軌道内に移動するかのように見えた」とつづった。その代表的な事例として、エスパー氏は慶尚北道星州の在韓米軍THAAD(高高度防衛ミサイル)基地問題を挙げた。

 エスパー元長官は、文在寅政権はTHAAD基地について協力せず、THAADを撤収させようとした、と明かした。2017年4月に初めて配備された星州基地の在韓米軍THAAD部隊(ランチャー6基)は、5年間にわたって野戦(臨時)配置状態が続いている。正式配置しようと思ったら環境影響評価を経なければならない。しかし文在寅政権の5年間、進捗(しんちょく)はなかった。施設の改善のための工事資材・装備の搬入が反THAAD団体や一部住民の反対デモで妨げられ、韓国政府が事実上、これを放置したからだ。このため、星州基地で勤務する韓米の将兵およそ400人は依然として、きちんとした場所ではないコンテナなどを宿舎として用いている。

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